「そんなことしていいの?」と思われるだろうが、ここまでは「違法」ではない*。
とはいえ、これはノルマのための仕事で、やる意義が見いだせない。新人の私はどんなにノルマに困っても、この方法をやる気にはならなかった。
奥の手は使わなかったが、駐車禁止、右折禁止、一時停止違反など、交通違反はひととおり取り締まった*。
「ほかにやることねーの? ヒマだねえ」なんて嫌味をぶつけられたことも多々ある。自分が正義だと信じられるなら毅然としているだけだが、どこかに「確かに……」と思うところがあると、心が揺れる。たまに情けなくなることもある。
ノルマに追い回されて疲弊する浦口や神宮司を見ていると、私も将来こうなるのかと思い、このままでいいのかという迷いも生じてくるのだった。
成績が悪い
書類カバンには「実績管理表」(通称「売上げ表」)という個人ごとの検挙実績を記載するA4用紙がある。これがわれわれの「成績表」だ。夜勤明けに署に提出するのだが、検挙数の欄に「0」と書いた折、地域課長から赤ペンで「やる気出せ!」と指摘された。警察にも厳しい赤ペン先生がいるのだ。
書類カバンには「実績管理表」(通称「売上げ表」)という個人ごとの検挙実績を記載するA4用紙がある。これがわれわれの「成績表」だ。夜勤明けに署に提出するのだが、検挙数の欄に「0」と書いた折、地域課長から赤ペンで「やる気出せ!」と指摘された。警察にも厳しい赤ペン先生がいるのだ。
分限
「懲戒処分」の一種で、職員の身分保障を前提としながらも、公務能率の観点などから降格させたり、休職させたりするもの。もちろん実際には不祥事などを起こさないかぎり、そう簡単に降格などにはならないのだが、脅し文句としては有効。
「懲戒処分」の一種で、職員の身分保障を前提としながらも、公務能率の観点などから降格させたり、休職させたりするもの。もちろん実際には不祥事などを起こさないかぎり、そう簡単に降格などにはならないのだが、脅し文句としては有効。
努力目標
そのほかにも「活動報告書10枚」といった目標も設定されていた。「活動報告書」とは、不審者情報や、警戒対象に立ち寄り警戒した旨を書き込むレポートで、調布署では「調布飛行場」や「変電所」がテロの攻撃対象となりうる(通称・ソフトターゲット)警戒対象とされていた。「調布飛行場、22 時に警戒して異常なし」などというしょーもない報告書(通称・紙爆弾)を量産して実績を稼いでいた。なかには、行ってもいないのに「立ち寄り警戒」の報告書を書く不届き者もいた。
そのほかにも「活動報告書10枚」といった目標も設定されていた。「活動報告書」とは、不審者情報や、警戒対象に立ち寄り警戒した旨を書き込むレポートで、調布署では「調布飛行場」や「変電所」がテロの攻撃対象となりうる(通称・ソフトターゲット)警戒対象とされていた。「調布飛行場、22 時に警戒して異常なし」などというしょーもない報告書(通称・紙爆弾)を量産して実績を稼いでいた。なかには、行ってもいないのに「立ち寄り警戒」の報告書を書く不届き者もいた。
無線で署に防犯登録の番号を伝え
無線報告の数が少ないと「おまえ、あまり鳴いてなかったな」と上司から注意される。警察官ごとに自転車の照会件数を計上しているという話も聞いた。その結果、テキトーな放置自転車の防犯登録を無線で照会する者もいた。うっかり盗難手配の出ている放置自転車を「職質」してはマズいので、あらかじめその防犯登録を交番で調べておく。これを「カラ鳴き」と呼んだ。仮に検挙がなくても照会件数が多ければ「まあ仕方ないか」と許される空気があったのだ。
無線報告の数が少ないと「おまえ、あまり鳴いてなかったな」と上司から注意される。警察官ごとに自転車の照会件数を計上しているという話も聞いた。その結果、テキトーな放置自転車の防犯登録を無線で照会する者もいた。うっかり盗難手配の出ている放置自転車を「職質」してはマズいので、あらかじめその防犯登録を交番で調べておく。これを「カラ鳴き」と呼んだ。仮に検挙がなくても照会件数が多ければ「まあ仕方ないか」と許される空気があったのだ。
「違法」ではない
某署のおまわりさんが放置自転車を回収したうえで(しかもご丁寧にパンク修理まで施して)路上に再放置して「おとり捜査」に使ったとして処分された。これは当然、犯罪行為であり、許されるものではない。
某署のおまわりさんが放置自転車を回収したうえで(しかもご丁寧にパンク修理まで施して)路上に再放置して「おとり捜査」に使ったとして処分された。これは当然、犯罪行為であり、許されるものではない。
ひととおり取り締まった
交通違反を取り締まろうとして逃げられたことも何度もある。自転車で取り締まっている地域警察官は、クルマやバイクで逃げられたら追いつけない。あきらめるだけだ。ナンバーや防犯カメラで追跡しないのかと思う人もいるだろうが、ナンバーは都道府県名+数字+平仮名+4ケタの数字からなり、そのすべてを記憶しておかないと所有者にたどり着けない。切符1本のためにそこまでやる警官はまずいない。だから、ここだけの話、逃げ得なのだ。ただし、白バイや交通機動隊のパトカーからは逃げられない。彼らは「それで食っている」プロなので、意地とプライドをかけて、どこまでも追いかけてくる。逃げると逮捕される可能性もあるのでご注意を。
交通違反を取り締まろうとして逃げられたことも何度もある。自転車で取り締まっている地域警察官は、クルマやバイクで逃げられたら追いつけない。あきらめるだけだ。ナンバーや防犯カメラで追跡しないのかと思う人もいるだろうが、ナンバーは都道府県名+数字+平仮名+4ケタの数字からなり、そのすべてを記憶しておかないと所有者にたどり着けない。切符1本のためにそこまでやる警官はまずいない。だから、ここだけの話、逃げ得なのだ。ただし、白バイや交通機動隊のパトカーからは逃げられない。彼らは「それで食っている」プロなので、意地とプライドをかけて、どこまでも追いかけてくる。逃げると逮捕される可能性もあるのでご注意を。