太陽光・風力発電、米政府の支援なしでも成長可能Photo:Mario Tama/gettyimages

 米国では「一つの大きく美しい法案(OBBB)」の可決によって、太陽光・風力発電への補助を打ち切る政府の姿勢が鮮明になった。再生可能エネルギー業界には衝撃だったとはいえ、業界はその打撃を吸収できる状況にあり、長期的にはむしろ恩恵を受ける可能性もある。

 風力・太陽光発電業界が利用してきた二つの主な税額控除はそれぞれ1992年と2005年から導入されてきた。これらの措置は延長を重ねて維持されてきたが、OBBB法によって早期に打ち切られることになった。財務省が最近発表した指針でも、こうした支援の適用要件が厳格化された。

 ただ、これは業界にとって破滅的な事態を意味するわけではない。投資家にとっては、現在は業界に目を向ける格好のタイミングかもしれない。

 再生可能エネルギー開発企業のネクステラ・エナジーやAESは、株価が年初からS&P500種指数を下回るパフォーマンスを見せており、予想株価収益率(PER)は過去10年平均を下回っている。対照的に、原子力や天然ガス発電の比重が高い電力会社のコンステレーション・エナジーやビストラの株式は過去平均に比べ大幅な高水準で取引されており、株価は年初来で約40%上昇している。

 なぜ風力・太陽光発電は破滅的な事態に陥っていないのか。第一にこれらはもはや、政府支援を受け始めた当時のような新興技術ではないということが挙げられる。いずれの再生可能エネルギーも、少なくとも10年前から政府の補助なしでも天然ガス火力発電と比べて安価だった。