ドナルド・トランプ米大統領がウクライナとロシアの間の持続可能な和平を実現させられれば、それは彼にとって最も大きな功績の一つになるだろう。しかし、自身の政権が彼の立場を損なっているため、その実現は極めて難しくなっている。トランプ氏が先週末、ジョー・バイデン前大統領の対応について「ウクライナに防衛だけしか認めず、反撃をさせなかった」と批判したのは正しい。だがトランプ政権の対応は、バイデン政権と大きく異なっているだろうか。バイデン氏が戦争のエスカレーションを恐れてウクライナへの兵器供与をためらったことが、戦線をこう着状態に陥らせる要因になった。トランプ氏のバイデン政権への批判は、米国がついに本気になった可能性があり、ウクライナがより多くの米国の長距離ミサイルを使ってロシア領内奥深くの標的をもっと攻撃できるようになるかもしれないということを明確に示唆した。こうした警告は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を和平交渉の席に着かせるための圧力になるかもしれない。ただし、プーチン氏がこの警告に真実味があると考えることが、その前提条件となる。