日本の家づくりをもっと自由に 建築士や大工を育て、木材を直接仕入れ

――現在の事業内容を教えてください。

増井 「日本の家づくりをもっと自由にすること」「建築の力でよりよい社会の創造に寄与すること」を使命に掲げ、注文住宅の設計から施工までを行っています。

 建売住宅では満足できない、と注文住宅を選ぶ方は少なくありませんが、それでも理想の家が建てられなかったと嘆く方もまた少なくありません。それもそのはず、質の高い注文住宅づくりは「いい設計」「いい職人」「いい材料」がそろわないと実現できないからです。

日本の家づくりをもっと自由に 建築士や大工を育て、木材を直接仕入れ代表取締役・増井真也氏(ますい・しんや)。1974年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、戸田建設勤務。2001年3月入社(03年に(有)ますいいリビングカンパニーに組織変更)、17年代表取締役就任。ものつくり大学修士課程、左官研究者。

 弊社は2001年に「工務店機能を兼ね備えた建築家集団」として活動を開始してから、いい設計、いい職人、いい材料をそろえる努力を続けてきました。それが認められたのか、今では自由な家づくりをしたいお客さまに支持され、他社で断られたお客さまからも多くのご相談を受けるようになりました。

――いい設計、いい職人、いい材料の三つをそろえるために、具体的にどんなことをされてきたのですか?

増井 まずは、いい設計です。社員のうち約20人が建築士で、「お客さまに喜んでもらえる設計をしたい」「賞を取れるような設計をしたい」といった夢を持っています。そうした夢をかなえられるよう、創造性を高められる環境づくりをしています。例えば月1回、丸1日使って勉強会を開催したり、基本設計を社員全員の前でプレゼンして批評し合ったり、年1回「ますいい建築賞」を外部審査員も招いて開催したり、といったことです。外部コンテストへの応募も奨励し、受賞すれば会社での評価に反映させています。

――いい職人はどう確保されているのでしょうか?

増井 当初は手間請けの大工さんにお願いしていましたが、職人不足の深刻化を見越して、6~7年前から自社で社員大工を雇い始めました。現在は、業務提携の一人親方大工を含めて8人の大工が弊社専属で働いています。経験の浅い社員大工は社費で勤務時間内に技能学校に通わせています。