職場の出世しない人に決定的に欠けている〈漢字5文字の要素〉とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

「それ、私の仕事じゃないのに…」――上司から押し付けられた瞬間、心の中でそうつぶやいた経験は誰にでもあるだろう。納得できない“他人の尻拭い”や“担当外の雑務”。だが実は、それを引き受けることこそが、自分の評価を一気に上げ、キャリアのチャンスを広げる最強の戦略になる。お人好しではなく、合理的に得をするための「当事者意識」のメカニズムを解説する連載第19回。(人材研究所ディレクター 安藤 健、構成/ライター 奥田由意)

実は本当に自分のためだった
「情は他人のためならず」

「なぜ私の責任ではないのに、私がやらなければならないんですか」

 上司から、自分の責任範囲ではない問題について、誰かを助けるよう言われたり、担当外の会社のイベントを企画するように言われたりしたとき、こう感じる人も多いのではないでしょうか。

「なぜ私が他の人の尻拭いをしなければならないの」「原因は他人にあるのに、私が解決しないといけないなんて納得がいかない」と思うのは、一理あることです。

 このような疑問に対して、上司や先輩から「それはあなたのためだから」という答えが返ってくることもよくあります。多くの人はそれを聞いても「いいように言って働かせようとしている」と感じるかもしれません。

 実は、この「あなたのためだから」という説明は、やりがい搾取でも建前でもありません。実は、本当にあなた自身の「利益」になることが、心理学の研究によって明らかになっています。功利主義的な視点であり、まさに「情けは人のためならず」ですが、今回はそのメカニズムについてお話していきます。