財布を手に悩む夫婦写真はイメージです Photo:PIXTA

固定資産税は地方自治体にとって欠かせない財源だ。全国で毎年9兆円規模、近年は地価の上昇を背景に増収が続き、2024年まで3年連続で過去最高を更新している。自治体にとっては安定的でありがたい収入源だが、納める側から見れば重い負担である。固定資産税は「一度不動産を所有したら払い続けるコスト」だ。不動産を持つ限りは逃げられず、住宅ローンを返済し終わっても納税は続く。そこで、本記事では「固定資産税」をテーマに、相続やマイホーム購入への影響、押さえておくべき生前対策を解説する。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

固定資産税の制度の仕組みと
納税の最新データ

 固定資産税とは土地や家屋などに対して、固定資産税評価額に基づき課税される「地方税」である。総務省によると2023年度の固定資産税の税収は9兆8073億円に上り、21年度の9兆3221億円、22年度の9兆6660億円と3年連続で増加している。

 23年度の固定資産税収は市町村税収全体の約41%を占めており、地方を支える重要な地方の財源である。固定資産税の標準税率は1.4%で、3年ごとに評価替えが行われる。地価上昇は納税負担の増加に直結する。特に都市部では再開発や需要集中で評価額が上がっているため、毎年春に届く納税通知書を見るたびに、ため息をつく人は多いだろう。

 東京都心のマンションを購入した人は、ローンの返済と並行して地価上昇の影響を受ける固定資産税を負担することになる。一方で、地方に目を向けると地価は下落傾向だが、今度は「空き家を相続したら、誰も住んでいない不動産に対して税金だけを払い続ける」という別の重荷が待っている。