
米国の中間層にとって、この夏は自信を失った季節だった。
注目度の高いミシガン大学の消費者信頼感指数は、6月および7月には上昇傾向にあったが、8月に6%近く低下した。シンクタンクの全米産業審議会(コンファレンスボード)が実施した調査によれば、雇用市場に対する悲観的な見方が増え、調査対象者のうち、自分の所得が下がると予想した人が増えた。
一般的に中間層と見なされる年収約5万3000~16万1000ドル(約780万~2400万円)の世帯が、楽観的な見方の後退に極めて大きな役割を果たしている。年収5万~10万ドルの世帯は、高所得者の景気に対する自信の高まりを何カ月かにわたり後追いした後、6月に突然大きく方向転換した。データ分析会社モーニング・コンサルトの調査によると、こうした世帯の見方は今や、もっと悲観的な低所得者の見方に近くなっている。
モーニング・コンサルトのチーフエコノミスト、ジョン・リア氏は「中間層の消費者が、世界でうまく行っていた全ての物事に引っ張り上げられているように見えた時期が一時的にあった」と指摘した上で、「その後、事態は崖から落ちるように悪化した」と述べた。
中間層が圧迫されている証拠が増えつつある。外食・小売り・ファッション・航空といった業界の最高経営責任者(CEO)の一部からは、高所得者は購入を続けているのに中間層の顧客は経済的にますます苦しくなっているとの声が上がっている。
経済的に苦しい消費者向けにお買い得品を提供することで優位に立ち続けているウォルマートによると、中・低所得の買い物客は、出費を抑えており、カートに入れる裁量的商品を減らしているという。自動車の交換部品を販売するアドバンス・オート・パーツとオライリー・オートモーティブの両社は、中・低所得の顧客は圧迫感を抱いており、一部の自動車・トラック所有者が不要不急の修理を控えていると指摘した。ディスカウントストア運営のダラー・ゼネラルは、お得感を求める中間層世帯の客が増えていると述べた。
小売り大手のコールズでは、顧客が以前より安価な衣料品や家庭用品を買うようになっている。同社のマイケル・ベンダーCEOは「低・中所得層の顧客は引き続き、最も厳しい状況にある。高所得層は状況に耐える力がより強いことが判明している」と述べた。