
多くの人が、リーダーシップを誤解しています。「人間力」で何とかしようと、無謀な挑戦を繰り返しては失敗するのです。リーダーとは「役割」に過ぎません。「チームで成果を生み出す技術」=リーダーシップは、コツさえつかめば誰でも再現可能です。むしろ現代においては、“カリスマ的な存在”が、組織にとって大きなリスクになります。今すぐ実践できる、リーダーに本当に必要な5つの技術を解説します。(ブレインマークス代表取締役 安東邦彦)
リーダーシップは「才能」ではなく「役割」に過ぎない
子どもの頃、クラスのまとめ役や部活のキャプテンを務めるような“リーダー気質”の人がいたと思います。声が大きい、責任感が強い、自然と周囲を巻き込む――私たちは知らず知らずのうちに「リーダーとはそういう人」と思い込んでいます。
そのせいか、大人になっても「自分にはリーダーの資質がない」「導く力がない」と感じる人は少なくありません。しかし現実には、社会に出れば誰もがリーダーの役割を求められます。プロジェクトの責任者や小集団のまとめ役など、リーダーシップが必要な場面は数え切れないほどあるからです。「自分は向いていない」と思い込んで踏み出さなければ、キャリアの可能性も、年収の伸びしろも、自ら狭めてしまうでしょう。
私自身、起業したものの自分にはカリスマ性がないことに悩んでいました。ビジネス本や自己啓発本を読みまくる中で、「リーダーシップとは先天的な才能ではなく、学びと訓練によって身につけられる“技術”である」(マイケル・E・ガーバー著『はじめの一歩を踏み出そう』世界文化社)という言葉に出合い、救われました。
むしろ今の時代は、“カリスマ的な存在”が、実は組織にとって大きなリスクになり得ることも明らかになってきています。最大の問題は、「再現性がない」ことです(詳細は後述)。
では、一流のリーダーがやっている本当に大事な仕事とは何でしょうか? 学びと訓練によって身につけられるリーダーのスキルのうち、特に大切だと思うのは次の5つです。