ドナルド・トランプ米大統領は先月、月次の雇用統計が気に入らないという理由で労働省労働統計局の局長を解任した。トランプ氏は同統計が「不正操作された」と主張した。しかし、5日に発表された8月分の月次統計は、同氏が関税の集中砲火を浴びせる中で雇用創出が失速していることを裏付けている。雇用主は8月に就業者を2万2000人しか増やさず、その前2カ月間の就業者数は合計2万1000人下方修正された。これは、過去4カ月間に創出された新規雇用が10万7000人、すなわち月平均2万7000人にとどまったことを意味する。昨年の月間の就業者数の伸びは平均16万7000人だった。先月の新規雇用のほぼすべてが、政府支出に依存する社会福祉・医療分野(4万6800人)だった。関税の影響を大きく受ける業種では就業者数が減少し、製造業は1万2000人減、卸売業は1万1700人減だった。また、輸送機器製造業は1万4500人減で、製造業全体の就業者数は年初からの累計で3万8000人の純減となった。関税がもたらすという黄金時代の兆しはまだ見えない。
【社説】トランプ関税で夏場の雇用失速
コスト増と不透明感拡大で大半の企業が新規雇用停止、最新の雇用統計が裏付け
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