また、血管の健康は脳の機能とも密接に関係しています。長期間にわたる血管の不調は、脳への血流を不足させ、思考力や集中力、記憶力の低下につながることが報告されています(※3)。このような不調は、仕事のパフォーマンスを低下させるだけでなく、日常生活にも大きな影響を及ぼします。
しかし、血管の変化は自覚症状が少ないまま進行することが多く、特に高血圧は「サイレントキラー」(静かな殺し屋)と呼ばれます。自分の血管の状態を把握し、早めに生活習慣を改善することが、将来の健康を守る上で不可欠です。定期的な健康診断を受け、血管の状態に気を配ることが大切です。
初夏から秋が旬の「なす」が
“血管ケア”に役立つ
動脈硬化や高血圧のリスクを遠ざけるために、ただ一つの魔法の食材に頼ることはできません。
しかし、日々の食事を整え、季節の恵みを取り入れることは、健康への確かな一歩となります。
ここでは、夏から秋にかけて旬を迎えるなすに注目します。なすは、その見た目からは想像できないほど、血管の健康維持に役立つ成分を豊富に含んでいます。
<夏の恵み「なす」が持つ、“血管ケア”に役立つ3つの成分>
酸化ストレスから細胞を守る:ナスニン
なすの紫色の皮に含まれるナスニンは、アントシアニン系のポリフェノールの一種です。実験研究では、ナスニンが強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素を除去し、脂質の酸化を防ぐことが報告されています(※5)。
酸化ストレスは血管の老化を促す主要な原因の一つであり、ナスニンの抗酸化力は血管を健康に保つ上で重要な役割を果たすと考えられます。
血圧をサポートする:アセチルコリン
なすには、植物性のアセチルコリン(コリンエステル)が比較的多く含まれています。日本の研究では、高めの血圧の人がナス由来のアセチルコリンを継続的に摂取することで、血圧がわずかに改善する可能性が示されています(※6)。この成分は加熱調理後も比較的安定しており(※7)、日常の食事に取り入れやすいというメリットがあります。
塩分バランスを整える:カリウム
なす100gあたりには約220mgのカリウムが含まれています(※8)。カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)の排出を促し、食塩の摂り過ぎによる血圧の上昇を抑える重要なミネラルです。日本の厚労省も、減塩とカリウム摂取を組み合わせることの有効性を推奨しています(※9)。ただし、腎臓病などでカリウム制限が必要な方は、必ず医師の指導に従ってください。