関口絢子さんのポートレート写真料理研究家・管理栄養士の関口絢子さん Photo by Wataru Mukai

男性ビジネスパーソンの間でも美容に注目が集まるなど、「若々しさ」や「快活さ」といった印象づくりは仕事の一環となりつつある。ビジネスパーソンが体の不調を未然に防ぐことに役立つ「予防メシ」を紹介する連載。第1回(全4回)のテーマは「老化」。予防に役立つ食材とレシピを教えてくれるのは、YouTubeチャンネル登録者数58万人をほこる料理研究家で管理栄養士の関口絢子さん。(取材・構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)

体調不良を予防して、仕事と私生活の土台をつくる「食材・レシピ」をご紹介する連載「予防メシ」連載をフォローすると新着記事がメールで届くので、読み逃しがなくなります。

老化の3大原因を
抑える“すごい食材”とは?

 今回は老化予防に効果的な成分を含む食材をご紹介します。この食材は、どこのスーパーでも買うことができて、通年で手に入れることができますが、秋から冬にかけて10~2月が旬となります。食材に含まれる成分の詳しい解説だけでなく、効果的な調理法もお伝えします。

 はじめに、老化の3大原因酸化ストレス、糖化、炎症について解説します。

 私たちの体は、日常的に老化のリスクに晒されています。 その代表例が活性酸素です。活性酸素は体内で殺菌作用などのプラスの働きをする一方、過剰に発生すると一転して体内の細胞を傷つける有害なものに変わります。

 通常の状態では、人間の体に備わっている防衛システムがはたらいて、体内に持っている酵素や、体外から摂取するビタミンやミネラルなどで、過剰に発生した活性酸素の処理をします。

 しかし、その処理能力が低下していたり、許容量を超える量の活性酸素が発生すると、細胞が損傷を受け、がん化したり死滅したりすることがあるのです。このように、酸化から身を守る防御システムのバランスが崩れた状態のことを「酸化ストレス」と言います。

 酸化ストレスの原因となる活性酸素を発生させる要因には、放射線や、紫外線、タバコ、アルコール、大気汚染、ストレス、過度な運動などがあります。

 活性酸素は脂質を酸化させ過酸化脂質となり、細胞膜やDNA、ミトコンドリアなど私たちが生体を維持するうえで大切な部分に大きなダメージを与え、細胞を老化させるのです。さらに、老化だけではなく、がん、心疾患、糖尿病、リューマチ、関節炎、アルツハイマー病などの数多くの病気の発症原因や悪化要因にも関係があることがわかっています。

 2つ目の糖化は、糖(特にグルコース)がタンパク質や脂質と結合する過程を指します。酸化ストレスなど多様な要因が重なり最終糖化産物AGEsを作ります。AGEsが体内の至る所に蓄積すると、さまざまな弊害が起こります。肌のコラーゲン構造に蓄積すれば、肌から弾力が失われて老化につながりますし、関節に蓄積すれば関節炎になることもあります。

 最後は、炎症です。基本的に炎症は、感染や怪我に対する体の防御反応です。しかし、炎症が持続する(慢性炎症)と、健康な組織にもダメージを与える可能性があります。

 サイトカインと呼ばれる、感染や炎症時に重要な役割を果たすタンパク質が過剰に分泌されることで、慢性的な炎症が起こり、DNA損傷、ミトコンドリアの機能低下、細胞分裂に関わるメカニズムの不全につながると言われています。また、慢性炎症は、テロメア(染色体の端部にあるDNA領域)の短縮を促進する可能性があるとされています。テロメアが短くなると、細胞は正常に分裂できなくなり、老化が進む可能性があります。

 酸化ストレス、糖化、炎症は、体内で複雑な相互作用を持っており、全体として老化を進行させてしまうと考えられています。