社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「やりたいことがない」人が、自分の「強み」に一瞬で気づく方法Photo: Adobe Stock

「強み」は無意識に発動するので、なかなか気づけない

前章では「自分の『道』を見つけるための実践編」のSTEP1として、「世界を広げる」ことから始めました。この経験を通し、自分の中の「強みの種」がアピールを始めます。

STEP2では、この強みの種のアピールに気づき芽吹かせるために、自分自身を深く観察していきます。STEP1の世界を広げる活動とSTEP2の自分を深める活動は、並行して行ってください。

「強み」とは「無意識に発動して、良い結果をもたらす思考や行動のパターン」です。できるかできないかというスキルではありません。

人間誰しも強みの種を持っていますが、それを見つけて健やかに育てることが、本当の強みにつながります。まずはそのプロセスを簡単に説明します。

「活動」自体がエネルギーを生む感覚があるかに注目する

強みの種に経験などの刺激を与えると、芽が出てきます。その芽を見つけて、育てます。強みの種が発芽するときは次のような段階を経ることが多いです。

1│「反応する」段階
新しい経験や知識に触れると自分の中の強みの種が反応し、「なんとなく気になる」「ちょっと面白そう」といった小さな関心として現れます。例えば、ある本のページをたまたま開いたときにその内容に心惹かれたり、テレビの特集を見て「もっと知りたい」と思ったりするとき、それは強みの種の反応かもしれません。

2│「エネルギーを生み出す」段階
その反応に従って行動を起こすと、普通なら疲れるはずなのに逆にエネルギーが湧いてくる感覚があれば、それは強みの種が発芽しようとしている証拠です。「時間を忘れて夢中になる」「やるほどに楽しくなる」という状態です。普通の活動では時間とともにエネルギーは減るものですが、強みを使っているときは、活動自体がエネルギーを生み出すという感覚があります。

3│「自然と行動に表れる」段階
強みの種が発芽すると、意識しなくてもその思考や行動が表れるようになります。頼まれなくても人の相談に乗っていたり、気づいたら物事の関連性を図に書いていたり。こうした無意識の行動が、あなたの強みの表れです。強みが発揮されているときは「当たり前のこと」と感じるため、自分では気づきにくいのが特徴です。

4│「他者から認められる」段階
自分では当たり前のことをしているだけなのに、相手から「ありがとう!」「さすがだね!」と言われるようになる段階です。自分では簡単なちょっとしたことが周りからとても感謝されるのです。ただし、強みの種が芽吹いたばかりの段階では、意識して強みを使っているわけではないので、安定して発揮できるわけではありません。使いこなせるようになるまでにはさらに次のステップが必要です。

この中でも大事な観察ポイントは2の「エネルギーを生み出すか否か」です。

たとえ得意なことでも、やり終った後にエネルギーを消耗しているように感じたら、それは強みではありません。

逆に、苦手なことでも、やっている最中、やり終った後にエネルギーが沸いてきて、どんどん夢中になる、もっとやりたいと思うなら、それは強みの可能性が高いです。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。