社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

①「感情」の動きを見逃さない
前回、自分の強みの種を見つけるときに、観察したい4つのポイントを挙げました。その一つ目が①「感情」です。
感情は自分の心の奥底から発せられる重要なバロメーターです。ワクワク、楽しい、怒り、悲しみ、恥ずかしさ……といった形で自分の感情が動いたときに、心が何に対してどのように反応したのかを観察し、言葉にします。
例えば、
・新しいプロジェクトの話を聞いたときにワクワクした
・この仲間たちと話をするのは楽しくて時間を忘れる
・主人公が騙されるシーンがある映画は、映画館を出た後も気持ちが沈む
・作業自体は簡単だけど、続けているとイライラしてくる
このとき、出てきた感情は、そのまま受け止めましょう。
「こんなことで喜ぶなんて単純な人間だろうか」や「イライラしている暇があったらやる気を出さないと」といった判断は脇に置いて、まずは「今、自分はこういう気持ちになっている」と観察することが大切です。
理由がわからなくても記録しておく
感情に、いい感情や悪い感情といったものはありません。
怒りや悲しみといったネガティブな感情が出てくることを悪いことと感じる方もいらっしゃるのですが、悪いのは「怒った! だから殴る!」や「悲しい! だから無視する!」というように感情表現の仕方を誤ることです。
感情が浮かぶこと自体は悪いことではなく、自分が何を大事にしたいかを教えてくれる大切な指標です。なので、いかなる感情も否定しないでください。
感情の動きは忘れてしまいやすいので、「◯◯したときに、こういう感情が湧いた」というように、感情が動いた状況を書き留めていきます。
感情を発見した後、「あ、今、新しいことに挑戦できることにワクワクしている!」というように、すぐに理由がわかることもありますが、「今のプロジェクトで手一杯で新しいことをやりたかったわけではないのに、どうしてワクワクするんだろう?」というように、なぜ感情が動いたか、理由がわからないこともあります。
理由はわからなくても、その感情は大切なものなので書き留めておき、この後で説明しますが、それを分析していきます。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。