だが、メタ認知が機能しない人だと、注意を受けても自分を振り返ることがないため、反省して謝るどころか、「ていねいにやってるじゃないか。なんでケチつけられなきゃいけないんだ」というように、被害者意識さえ抱くこともある。

注意されると「意地悪されている、いじめられている」と感じる

書影『絶対「謝らない人」』(詩想社)榎本博明『絶対「謝らない人」』(詩想社)

 このような人物は、自分を振り返ることがないので、自分のミスだから謝るようにと言われても、それは理不尽だと感じ、謝る気になれない。注意する側から見たらまったく「あり得ない態度」だが、本人にしてみれば「あり得ない攻撃」を受けているのである。自分に落ち度があったという自覚がないのだから。

 仕事でよくミスをするのに反省せずに、「お局さまが意地悪ばかり言うから困る、私はいじめられている」とか「きっと自分は嫌われているんだ。言いがかりをつけられてばかりだから」などと、被害者意識を口にする。

 そのような人物に呆れることがあるかもしれないが、メタ認知が機能しないため、本人は本気で自分が被害者だと思い込んでいるのである。

 このように、当然謝るべき場面で謝らないといっても、その理由にはさまざまな要因が絡んでいるため、タイプによって謝らない理由が異なっている。ゆえに、注意したときの反応をみて要因を見極め、それに応じた指導をしていくことが大切になる。