
米電気自動車(EV)大手テスラの「モデルY」は、自動車業界に大変革をもたらし、古くさい旧来の自動車メーカーを圧倒して世界で最も売れている自動車になった。そして今、世界トップの高級自動車ブランドが反撃に出ている。
ドイツ自動車大手のBMWとメルセデス・ベンツが、EVモデルの新型SUV(スポーツタイプ多目的車)を発表した。EVのSUVはモデルYが支配してきた分野だ。米国と中国の技術が自動車業界の方向性を決める傾向がますます強まる中で、両社の新型車は、欧州の高級ブランドへの自動車購入者の需要を試すことになる。
何十億ドルもの投資の成果であるこれら新型SUVは、現在の大半のEVよりも1回の充電で走れる距離が長く、充電スピードが速い。また、車両の心臓部にはスマートフォンの影響を受けた技術が採用されているため、運転者は外出先で最先端の人工知能(AI)に接続でき、メーカーはより多くのソフトウエアを遠隔操作で更新することが可能だ。
欧州で最も重要な自動車ショーである「IAAモビリティー」に先立ち、メルセデスは7日、ミュンヘンの旧王宮でEVの新モデル「GLC」を発表した。その2日前にBMWのオリバー・ツィプセ最高経営責任者(CEO)が、自身のチームにとって「一生に一度の瞬間」と呼ぶイベントで「iX3」を自慢げに披露した。
「BMWのようなブランドを一から考え直す機会が他にあるだろうか」とツィプセ氏は聴衆に問いかけた。
テスラは技術の大半を自社で開発したが、これらのドイツ企業は、自社の車を車輪付きの巨大なスマホに変えるためにシリコンバレーとの提携に頼っている。