
米 メタ・プラットフォームズ は今年の夏、人工知能(AI)分野のスター人材の採用に巨費を費やした。今度はそうした人材に新しい同僚と協力して仕事を進めさせるという難題に直面している。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が高額な報酬で採用した人材の一部は、すでに他のAI研究所に転職している。既存の社員は、再編されたAI組織内での新しいポストを得ようと画策したり、新しい同僚が高給で採用されていることを受け、昇給を要求したりしている。少なくとも、数百万ドル相当の報奨金を受け取ったある社員は、新規採用者の報酬の方がなお数倍高いと考え、退職した。
メタの報酬は巨額で、同社の時価総額は2兆ドル近くに達するかもしれない。しかしメタは根本的に、典型的な経営課題に直面している。それは、いかに一流の人材を採用・維持しながら、既存社員の満足度を保ち、組織全体の調和を維持するかというものだ。
テクノロジー業界のアドバイザーでグーグルの元人事責任者であるラスロ・ボック氏は「これらのスター人材を受け入れる文化的な基盤を整えなければ、多くの人材を燃え尽きさせ、怒らせることになる。そして多くの人が退職し、巨費を無駄にすることになる」と述べた。
事情に詳しい複数の関係者によると、新しいAIグループの最精鋭の研究者チーム( いわゆる「TBDラボ」 のメンバー)は、メンロパークの本社内でザッカーバーグ氏のデスクの近くにある、特別なバッジがないと入れないエリアに座っているという。彼らの仕事は厳重に管理されており、メンバーの名前は社内の組織図には表示されない。他の社員の名前は載っている。
一部の従業員は、これらの措置は社内の新たな地位格差を反映していると指摘した。メタでは現在、チーム間でコンピュートリソースの争奪戦が繰り広げられる中、 採用凍結 によってアレクサンダー・ワン最高AI責任者の個人的な承認なしでは人員を補充するのが難しくなっている。