巷には、育児に関する本や情報があふれています。その多くが親に今よりもっと多くのことを行なうよう、アドバイスをする傾向が強いです。もう十分に大きな負担を、さらに重くしてしまいます。著者はアメリカで児童精神科の医師として、20年以上多くの子どもや親たちに接してきました。著者は「もっと頑張るのではなく、頑張らないことが答えだ」と伝えています。
「子育てに疲れる」「子どもの将来に不安を感じる」「子どもを愛するよりも完璧な親になることを優先してしまう」「それが間違っているとわかっているのに、他の家族に合わせてしまう」など、子育てに苦悩する親は数多くいます。そこで、新刊『ジョンズ・ホプキンス大学児童精神科医が教える 育児の本質』より、親であるみなさんの考えを変える新しい視点に加え、とても実用的で誰もが取り組めるシンプルかつ具体的な子育て法を紹介していきます。

育児の本質Photo: Adobe Stock

子育てで重視するのは子どもより親

 私が何より重視するのは、「子ども」より「親」です。

 子どもを産んだら「自分の人生の終わり、子どもの人生の始まり」ではありません。親もまず自分自身に目を向け、学び、成長していいのです。

 私の人生も、あと50年から60年はある! 子育ての方法はもちろん、親自身にとってのいい人生の歩み方も知ってほしいと願っています。本書を読めば、親や子、家庭に平安が訪れると信じています。

 まずは、育児の本質を理解し、実践してみましょう。あとはちょっとくらい力を抜いても大丈夫です。周りの親たちにも話してあげてください。人生100年時代を生きる子どもたちは、成人を迎え親元を離れたのちも、さらに80年は生きていかなければなりません。そんな子どもたちに本当に教えるべきは、「数学ではなく価値」であり、本当に伸ばすべきは「身長ではなく自尊感情である」ことを伝えてほしいのです。

 現実がそうでなかったとしても、親だからこそ子どものために文化を変え、よりよい未来を残してあげなければなりません。一人ひとりが変わり、新しい子育て観を持つ親たちが主流となったとき、育児の文化が変わり、子どもたちが変わり、私たちの未来、そして子どもの未来が変わるのです。

(本原稿は、『ジョンズ・ホプキンス大学児童精神科医が教える 育児の本質』からの抜粋です)