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パズドラ大ヒットの秘密はビジネスモデルの進化
コンプガチャ後の荒野を再生する家庭用機の精神
――ソーシャルゲーム・バブル崩壊後の展望【後編】

石島照代 [ジャーナリスト]
【第39回】 2013年6月14日
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「JUZU」(Android/iOS用)

 池尻氏は先月、「集中力・ 思考力・予見力がみるみるアップする 脳トレパズル JUZU」(小社刊)をゲーム化した「JUZU」(Android/iOS用)をリリースした。「JUZU」は数独同様、数字さえ読めれば、老若男女、世界中の誰でもプレイできるパズルで、実際に脳力開発教室で使われているそうだ。先行リリースしたAndroid版は、Google Playの「人気のアプリ」にも取り上げられるなど好調な出だしとなっているが、それでも「ビジネス面だけ見るなら、ぶっちゃけきついです」という。

 確かにそうだろう、と思う。筆者は「JUZU」で初めてゲームアプリの課金をしたが、それでも85円だ。1万人買ってくれても85万円にしかならないし、アップルに手数料を3割引かれたら70万円を切ってしまう。「パズドラ」のように総ダウンロード数が1400万を超えるならともかく、そうでなければビジネスにはならないだろう。

 池尻氏はSCE在職時『みんなのGOLF』シリーズを手がける開発系管理職の地位にあり、辞める必要もなかった。なぜ独立に踏み切ったのだろうか。

 「『もっと世界中のどんな人にでも遊んでもらえるゲームを創りたい』と思ったことがきっかけです。より多くの方に向けて遊んでもらえる可能性があるのは、一昔前なら家庭用ゲーム機しかなかったのですが、最近はタブレットやスマートフォンとどんどん広がっていった。なら、自分もいつかはそこに向かわないといけないと思いました」と語る。

 「前職、仕事の関係で海外出張に行くことが多かったのですが、空港ロビーや飛行機の機内で、『Amazon Kindle』を片手に、優雅に読書しながらお酒を飲んでいる富裕層のお年寄りをたくさん見かけました。しかもまだあまり端末としても出回っていない時期で、その時『海外のお年寄りはデジタルデバイスへのアプローチが早いんだなぁ』と感心した記憶があります。

 私は勝手にデジタルデバイスはリテラシーの高いイノベーター、20~30代の男性から浸透するものだと思い込んでいたのですが、『Amazon Kindle』という端末を、けっこう年齢が高い人自然と手にする光景を見て、シンプルなインターフェイスで何をするかわかりやすい機械であれば、年齢にかかわらず受け入れられるのだなと思いました」

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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