金融市場を歴史的に理解する上で、「バブル」は大きな存在感を示している。バブルは記憶に残りやすく、多彩で、恐ろしい。バブルは投資家心理と群衆の狂気について問題を提起する。人々は好況時に、次の大きなバブルに巻き込まれないかと心配する。だが、1790年以降の金融バブルを調べると、発生頻度は世間のイメージよりもはるかに低く、必ずしも悪影響を及ぼすだけではないことが分かる。バブルが人々の世界観に大きな変化をもたらすきっかけとなり、ビジネスの可能性と限界に関する古い考え方を覆すこともある。社会そのものを作り変えることさえある。多額の投資マネーが、世界を変える技術的進歩を後押しするためだ。筆者はグローバル株式市場の1世紀以上にわたるリターンについて研究し、バブルの発生頻度を調べた。バブルの定義は「株価が急上昇して2倍になった後、1年または5年以内にその上昇分全てを失うか、それ以上の下落を伴う暴落」とした。株価急上昇後の5年間の期間全てを見ると、バブルの発生は0.5%未満だった。