「今夜のご飯どうしよう?」の悩みは、十八番(おはこ)=得意料理を見つければ解決! 料理教室で2500品を教えてきた料理研究家の石原洋子先生が、十八番といえるベスト100品を厳選した集大成のレシピ本『50年続く 料理教室の十八番レシピ』を刊行。作りやすさ、また食べたくなる味つけ、家族が喜ぶ工夫など、石原先生がたどり着いた家庭料理に大切なエッセンスが詰まっている。ネットにはない確かなレシピ、一生モノの料理のコツを学べる本書から、一部を抜粋してお届けします。

料理教室50年で気づいたこと
母の知り合いから「料理を教えて!」と言われたのがきっかけで、私の料理教室は始まりました。
それから不定期で5、6人ずつ集めて……気づけば50年。ここまで続くなんて! と我ながら驚いています。
そして、長年料理教室を続けるうちに、私自身の、料理を作る上で大切にしていることが明確になってきました。
1つ目は「素材の味をいかす」
そのため、できるだけ化学的な調味料は使いません。
私も40代、50代までは当たり前のように市販のスープの素を使用していましたが、それらは塩分が多く味が濃いため、「どんな具材を使っても最終的に同じ味になってしまう」と気になりだしたのです。
「素材にはそれぞれのおいしさがあるのに、これでいいのかな?」と極力使用しないよう心がけたところ、入れなくても十分おいしい! いえ、むしろ使用しないほうが素材の味がぐっと前面に出てくるのを感じました。
自然なおいしさを家庭に広めたい、というのが私の願いです。
2つ目は「また食べたくなる味」
レストランの料理がひと口食べて「あ、おいしい!」と思う料理であるのに対し、家庭料理は食べ進めるうちに「うんうん、これこれ」としみじみとおいしさを感じる味でありたい。
家庭料理は決して高価な食材を使った料理でも、手間をかけた料理ばかりでもありません。
一見地味だけれどごはんが進む料理、家族が喜ぶためのちょっとした工夫がある料理、そして毎日でも食べ飽きない料理が最高の家庭料理だと思うのです。
得意料理は助けになる!
この本では、私の十八番料理をご紹介しました。
おもてなしに作るものもありますが、ほとんどが普段から作るものばかり。常備菜のような料理も入れています。どうぞ、気になるものから作ってみてください。何度も繰り返して作り、自分なりのアレンジを加えてみてください。それがいつしかあなたの十八番料理になります。
料理教室の生徒さんからは「料理は好きだけれど、何を作ろうか考えるのが苦痛の日もある…」なんて声をよく聞きます。でもそんなとき、十八番料理があれば必ずあなたの助けになってくれます。
(本稿は、『50年続く 料理教室の十八番レシピ』を一部抜粋・編集したものです)
料理研究家
幼い頃から母親と共に台所に立ち、「昼食は自分たちの手で」という食教育の自由学園に学ぶ。卒業後は家庭料理、フランス料理、中国料理など、各分野の第一人者に学び、アシスタントを務めたのちに独立。自宅で開く料理教室は50年以上になり、明るく飾らない人柄と確かな根拠に基づく指導に定評がある。著書は『一生もの献立』(ワン・パブリッシング)、『お豆腐、今日はどう食べる?』(家の光協会)、『77歳、石原洋子のからだが整うスープ』(主婦と生活社)など多数。