考えすぎ”から解放された」「心が軽くなった」「今を大切にしたくなった
そんな感想が国内外から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。本書によって日本人が考えている以上に「考えすぎ」が恐ろしい事態を招くことがわかった。本連載では「考えすぎ」から解放される5つの習慣を紹介。今回はライターの照宮遼子氏に「第5の習慣:態度を変えるコツ」について寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【メンタル】三流は「過去」に執着する、二流は「未来」に怯える、では一流は?Photo: Adobe Stock

「考えすぎ」から解放される5つの習慣

 とかく私はプライベートでも仕事でも考えすぎてしまう傾向にある。

 本書では、下記の「5つの習慣」を紹介している。

 この習慣を身につけることで、「考えすぎ」や「思考の無限ループ」から解放されるかもしれない。

1 ストレスを管理する(第1の習慣)
2 時間を管理する(第2の習慣)
3 心と体を瞬時に落ち着かせる(第3の習慣)
4 思考や行動を変える(第4の習慣)
5 「態度」を変える(第5の習慣)

 今回は「第5の習慣」を一緒に考えてみたい。

想定外の事態に成果を分ける
考え方の習慣とは

 出張当日、朝から雪が降っていた。行き先は金沢。
 今日はクライアントとの打合せが3件も詰まっているだけに、遅刻は絶対に許されない。
 そう思って早めに家を出たが、空港に向かう電車の中で一通のメールが届く。

「本日の便は欠航となりました」

 一瞬、頭が真っ白になった。
 大雪による運休。どうにもならない現実が目の前に突きつけられた。
 時計の針の音が、いつもより速く聞こえて、不安と焦りが一気に押し寄せてくる。

 けれど、立ち止まっている余裕はない。
 この瞬間をどう切り抜けるかで、結果はまったく違ってくる。

 すぐにスマホを開いて経路を検索すると、新幹線で向かうルートが出てきた。このまま東京駅に直行すれば、まだ間に合うはずだ。
 迷っている余裕はないと判断し、予約を確定した。
 欠航の連絡からわずか10分後には、もう東京駅に降り立っていた。

「道があるならやるしかない」――そう腹を括った瞬間、重くのしかかっていた不安がすっと薄れていった。

 頭の中で選択肢を並べて悩むより、今できることに集中する。
 そのシンプルな行動だけで、さっきまでの無力感は驚くほど小さくなり、心は軽くなっていった。

不安を大きくするもの

 トラブルに直面すると、人はつい正解を探そうとしてしまう。
 けれど、その渦中でどれだけ答えを追いかけても、選べる道はむしろ減っていく。

 もしそのまま空港に向かい、後続の飛行機を検討していたら、結局、遅延や欠航に巻き込まれ、打合せどころではなかっただろう。

 必要なのは、正解を探すことではなく、自分がコントロールできる領域に着手する姿勢だ。

 その行動が状況を切り開き、後になって「正しかった」という確信に変わる。

 とはいえ、頭ではわかっていても、人はなぜか「自分では動かせないこと」にばかり注目してしまう。

 止まった電車を前に「早く復旧してくれ」と念じたり、上司の判断に「なぜまだ決めないのか」と苛立ったり――いくら考えても、天候や相手の都合は変わらない。

 それでも、心はどうにもならない領域にしがみつき、不安を膨らませてしまうのだ。

あなたの行動を阻むものとは?

 これについて、著者のニック・トレントンはこう述べている。

不安をもたらす考えすぎは、無力感に支配され、自己コントロール感を味わえないときに起こる
――『STOP OVERTHINKING』(P.230)より

 思いがけない事態に直面すると、「どうしてこんなことに」「この先どうなってしまうのか」と問いを繰り返してしまう人は多い。

 けれど、その問いにどれだけ時間を注いでも、事実そのものは揺るがない。

 意識を向ける先を誤り、過去の「なぜ」にとらわれたり、未来の「どうなる」に怯えたりすればするほど、今できる一歩が遠のいてしまう。

 本当に怖いのは、外で起きている出来事そのものではない。
 動かせないことまで、「コントロールできるのでは?」と錯覚して考え続けてしまうことだ。
 その思考こそが、行動を阻む最大の足かせになる。

「状況」は選べないが、
「対応」は選べる

 欠航や大雪は、どうにもならないコントロール不能の領域だ。
 そこに思考を巡らせても、状況が動くことはない。

 私が意識を向けたのは「到着時間を守る」という一点だった。
 ルートを選び直し、段取りを整える――自分の手で変えられる部分に集中した。

 これはビジネスの場面でもよくある。
 会議直前に資料の差し替えが入って「なぜ今なんだ」と嘆いても、時間が戻ることはない。

 その瞬間にできるのは、「残りの時間で最低限伝えるべきことは何か」に絞って準備することだ。
 そうすれば、限られた条件の中でも必要な成果は守れる。

一流が焦点を当てていること

 金沢出張では理想的な移動手段は失ったが、約束に遅れることなく現地に着くことができた。

 しかも新幹線で過ごす時間が長かった分、じっくりと打合せの予習を整えることができた。
 予定が崩れても、自分がコントロールできる範囲に意識を戻すだけで、ピンチは不思議と前進のきっかけに変わっていく。

 ビジネスでもプライベートでも、思い通りにいかない場面は避けられない。
 けれど「今の自分にできること」に意識を戻せば、心の中に滞っていた重さが和らいでいく。

 不安や苛立ちに心を奪われるより、動かせる部分に目を向ける。
 その小さな切り替えが、日常を軽くし、未来を切り拓いていくのだ。

(本稿は『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)