「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書のポイントをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

トレンドが続く限り、利確せずに持ち続ける
「ちょっと利益が出たから」と早めに売ったら、その後株価が大きく上がって後悔する。そんな経験をしたことはありませんか?
窪田さんは、多くの個人投資家に共通するこの「早すぎる利確」が、投資の利益を減らす大きな要因になっていると指摘します。
少しの利益が出た途端、「下がる前に売らなきゃ」と焦り、すぐに手放してしまう。これでは、せっかくのトレンド相場の恩恵を受けられません。
例えば、次のチャートをご覧ください。
あなたは約2か月前に1,100円でこの株を買い、現在1,260円付近になっているとします。
10営業日前には1,300円の高値をつけ、その後やや下落している状況です。
では、ここであなたなら、どう判断しますか?
売りますか、それとも様子見しますか? あるいは買い増しますか?

窪田さんによれば、この局面では「売ってはいけない」といいます。
むしろ上昇トレンドが継続している可能性が高く、選択肢は「様子見」か「買い増し」だというのです。

株価は上値と下値を切り上げながら伸びており、売買高も高水準を維持しています。
つまり、依然として人気が強く、上昇トレンドが続いていると判断できるのです。
「利食いが早い」投資家が逃すもの
株価が2倍、3倍、あるいは10倍(テンバガー)に伸びる銘柄を買えたとしても、トレンドを途中で降りてしまえば、大きな利益を手にすることはできません。
実際、個人投資家の中には「10倍株を買ったことがある」という人は少なくありません。けれども、「10倍になるまで持ち続けた」という人はほとんどいないのです。
大切なのは「自分がいくらで買ったか」ではありません。
判断基準は、トレンドが上昇を続けているのか、それとも下落に転じたのかにあります。上昇が続く限りは持ち続け、下落トレンドへ切り替わったと見極めた時に売ることが重要です。