「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書のポイントをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

ボリンジャーバンドで急騰と急落の初動をとらえる
「ボリンジャーバンド」は、株価のボラティリティ(値動きの激しさ)を視覚的に示すテクニカル指標です。
チャートには移動平均線を中心に、上下2本のバンド(帯)が描かれます。

ボリンジャーバンドは、『株トレ』の中で、窪田さんがファンドマネジャー時代に最も信頼していたツールだとして紹介しています。
注目すべきはバンド幅の変化です。
相場が静かなときは幅が狭く、株価が大きく動き始めると急激に広がります。つまり、バンドが広がる瞬間こそ、トレンドの始まりです。
チャートを上手く使える人は、株価が急騰・急落する初動にいち早く気づき、そのトレンドに乗って売買することで利益を上げています。
買いシグナル
・バンド幅が狭い状態から急に広がる。
・株価が上のバンドを突き抜け、急騰する。

これまで値動きが少なかった銘柄で、バンド幅が急に広がり、株価が上向きにバンドを飛び出すような動きが見られたら、それは強い買いシグナルです。
多くの投資家がその銘柄を急いで買いに来ており、買いの勢いが強くなっていることを示唆しています。
売りシグナル
・バンド幅が狭い状態から急に広がる。
・株価が下のバンドを突き抜け、急落する。

これは、それまで穏やかだった相場が大きく荒れ、多くの人が売りに来ている状況を示しています。
もしこの状況で株を保有していたら、損失が広がる前に素早く撤退する判断が求められます。
ボリンジャーバンドを使いこなすための3つの心得
1:損切りを徹底する
百発百中で成功するシグナルはありません。好材料が出て株価が上昇したのも束の間、すぐにそれを打ち消すような悪材料が出て、暴落することもあります。
もしシグナルに従って売買したものの、株価が反対に動いたら、ためらわずに淡々と損切りすることが重要です。迅速な損切りは、損失を最小限に抑え、次のチャンスに備えるために欠かせません。
2:先入観や感情を捨てる
「SNSで専門家が推奨している話題の株だから大丈夫」「この株は割安だから上がるはずだ」といった先入観にとらわれていると、チャートのシグナルを見逃したり、シグナルに従ったトレードができなくなります。
3:他の指標と組み合わせる
株価が急騰した際に、売買高が大きく伸びていれば、多くの投資家が急いで買っていることがわかります。『株トレ』では、ボリンジャーバンド以外のシグナルも紹介しているので、ぜひ他のシグナルも合わせて活用してみてください。