
転職を考えたとき、あなたは誰に相談しますか?何でも話せる親友、それとも、たまにしか会わない知人?あなたの年収とキャリアを飛躍させる「強い人脈」と「弱い人脈」の驚くべき違いとは。社会学の研究が導き出した、転職成功の法則を解き明かします。(人材研究所ディレクター 安藤 健、構成/ライター 奥田由意)
「狭く深く」「広く浅く」
転職に有利な人間関係は?
みなさんはどちらのタイプでしょうか。人脈を広く持ち、一人ひとりとのつながりは薄めでも、なるべく大勢の人と知り合いたいと思うのか、それとも少数の親しい友人と深く付き合うほうか。
実は、人間関係の築き方にはこのように、大きく分けて2つのパターンがあり、広く浅く知り合いを増やしていくのと、少数の人と深く付き合うのは全く別の能力です。
専門的には、前者を関係構築力、後者は関係維持力と呼びます。どちらかがより得意という人のほうが多いですが、どちらも苦手な人、まれにどちらもできる人もいます。
一日は24時間と、限られた時間しかないので、両方のタイプの人間関係を築くには、寝る間を惜しんで人と会い続ける「パリピ」のような生活を送らなければならず、一般的な社会人には現実的ではありません。そのため、相対的にどちらかの傾向が強くなります。

社会学のネットワーク研究や、ソーシャル・キャピタルとも呼ばれる社会関係資本の分野では、こうした人と人との関係性を数値的に研究します。
人をノード(結び目)、つながりをエッジ、何人かの小集団、グループをクリークと呼んで(図1参照)、人と人とのつながりを「紐帯(ちゅうたい)」という概念で表し、その強さを接触頻度で測定します。
そして、頻繁に会う人との関係を「強い紐帯(強いつながり)」と呼び、たまにしか会わない人との関係を「弱い紐帯(弱いつながり)」と呼びます。