一方、9位(35.4点)の奈良県は、前年の14位(31.1点)から大きく上昇している。纏向(まきむく)遺跡内にある箸墓(はしはか)古墳が、卑弥呼の墓と伝えられたことが注目され、大きな話題となったことが理由の一つと考えられる。観光意欲度も前年11位(46.7点)から8位(46.5点)に上がった。
また、田中社長は他の要因として「ホテル開発の進展もあり、これまで修学旅行を中心としてきた観光から、個人旅行や外国人旅行客を取り込みへと観光構造が変化している」とコメントしている。
佐賀県は最下位から脱出できたのか?
気になる2025年の順位は
では、下位の都道府県はどうなっているのか。
前年46位(15.2点)から47位(13.7点)に転落し、最下位となったのは埼玉県。点数が3年連続で減少した。観光意欲度も最下位(29.1点)で、特に西日本からの観光意欲が低いのが顕著だ。
とりわけ課題となっているのが「食」のイメージで、「食事がおいしい(6.6%)」では6年連続最下位となっている。
「うなぎ料理店数が全国トップクラスだが、食文化としての認知が広がっていない。2019年開業の『ムーミンバレーパーク』や、映画『翔んで埼玉』で一時的に順位が上がったものの、長続きはしなかった。また、若年層の居住意欲度も前年から低下している」と田中社長。
昨年最下位だった佐賀県(14.9点)は、45位(15.4点)と、2ランクアップする結果となった。46位は茨城県(14.3点)で、昨年の45位(16.0点)から順位を落とした。
2025年の調査では20~30代で評価が上昇した一方、40代以上は横ばいにとどまり、世代間の認識の差が鮮明になった。上位常連の北海道、京都府、沖縄県の伸び率が伸び悩むなか、神奈川県や奈良県などの躍進が象徴的である。今後も、各地域がどのように魅力を発信していくのか、引き続き注目していきたい。
(フリーライター 西嶋治美)