社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「無意識の行動パターン」にこそ決定的な「強み」が隠れている理由Photo: Adobe Stock

ごく自然にやっているので自分でも気づけない

 特に、無意識にとる行動パターンには強みの種が隠れていることが多いです。

 例えば、大学生のEさんはサークル仲間から「Eさんが手伝うイベントは急なアクシデントが起きることがなく、いつもスムーズにいく」と言われたことがありました。Eさんにとってイベントがスムーズにいくことは当たり前なので、それが特別だとは思ってもいませんでした。

 しかし他の仲間の話を聞いてみると、イベント当日の想定外のトラブルは日常茶飯事とのこと。予定通りにいくことのほうが少ないそうなのです。

 そこで自分の思考や行動パターンを改めて考えてみたところ、あらかじめ進行表を見ただけで、ここでこんなことが起こる可能性がある、この場面ではこの機器が必要になるかも、などが瞬時に思い浮かび、対策を考えていることに気づきました。

 Eさんにとっては、それはごく自然に無意識にやっていることなので特別なことではありません。しかし実際は誰もができることではなく、Eさんならではの強みの種です。

 このように、本人にとっては当たり前すぎる「自分でやっていることにすら気づいていない思考や行動パターン」が、貴重な強みになっているのです。

無意識なので気づくのが難しいのですが、「たいしたことをしていないのに感謝される」「普通のことをしただけなのに褒められた」といった経験の裏にある無意識の行動パターンの中に、強みの種が隠れています。

無意識の「行動パターン」を書き出す

 本書でお伝えしている記録を見返して、何度も繰り返しやっている無意識の思考や行動パターンがあったら、それも抜き出してみましょう。例えば、

・誰かに相談されると、忙しくても断れずに話を聞いてしまう
・常に、もっといいやり方はないかなと新しい方法を考えている
・まずは段取りを決めてから始める
・急な変更が起きると、思考停止になり動けなくなる

 というような行動パターンです。
 自分では気づきにくいですが、「感情」「身体感覚」「違和感」「他者からのフィードバック」に注意しながら記録を続けていると、同じような感覚があるときは状況が違っていても同じ行動パターンを取っていることに気がつきます。

 このような「無意識に出る行動パターン」は、強みが発動しているときや、逆に弱みを避けるときに出てくるものです。

 自分の強みの種や弱みを読み解く鍵となるので、これらもポジティブなものとネガティブなものに分けて書き留めておきます。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。