社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「何をしても心が動かない…」と感じたら、意識すべき2つの感覚Photo: Adobe Stock

「快」と「不快」の感覚に正直になろう

本書では、「やりたいこと」がない人は、まず自分の「強みの種」を見つけるために、自分の「感情」や「違和感」「身体感覚」などに注目することをすすめていますが、たまに、「自分の感情や違和感も感じられない」という方がいらっしゃいます。こういう方は、感情が麻痺するほどに疲れて果てているか、もしくは、感情を押し殺すのが当たり前になっている方が多いのです。まずは休息をとってください。

その上で、感情を取り戻すためのアプローチとして、単純な「快」と「不快」の感覚から始めることが有効です。快と不快に注目する理由は、これが人間が最初に獲得する基本的な感情だからです。

アメリカの心理学者ブリッジスによると、人間は生まれた瞬間は感情の構造がシンプルで「興奮」しか感情がありません。その後、快と不快を手に入れ、不快が「怒り」「嫌悪」「恐れ」に分化し、快が「愛情」「得意」「喜び」に分化し、段階的にきめこまやかな感情を手に入れていくと言われています。

心が麻痺して感情がわからなくなるほど疲れ果てているときは、生後すぐの状態に戻って、まず快と不快を手に入れるところからやり直します。具体的には下のような方法を試してみてください。

快・不快の基本的な感覚を取り戻し、そこから徐々に「楽しい」「悲しい」「怒り」「喜び」といったより細かな感情を感じられるようになっていきましょう。

日常の小さな感覚に目を向けてみよう

1 日常の小さな「快」「不快」に意識を向ける
・ お布団が温かい→
・ 寒い風に当たる→不快
・ おいしい食べ物を口にする→
・ 耳障りな音を聞く→不快

2 「不快」を解消してみる
「不快」に関しては、解消できるものであれば解消して、「不快のない状態」を味わおう。
例えば、書きにくいボールペンを買い替える、うるさい場所から静かな場所に移動してみる、といった単純なことでOK。「不快な状態」と「快適な状態」の違いを意識的に感じてみる。

3 記録をつける
「今日感じた快・不快」を日記のように記録してみよう。最初は「快・不快すらわからない」と感じるかもしれないが、続けていくうちに少しずつ感覚が戻ってくるはず。

今やりたいことも、興味あることも全く思い浮かばない、という場合「疲弊」が原因ということもあります。
快・不快に戻って自分を見つめてみましょう

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。