
対話型AI(人工知能)「チャットGPT」を手がける米新興企業オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、演算能力に対する同社の飽くなき需要を満たす資金源と製造パートナーを求めて世界を駆け巡るキャンペーンを始めた。
オープンAIの驚異的な数兆ドル規模のインフラ計画の供給面を長期的かつ低コストに支えるため、アルトマン氏はサプライチェーン(供給網)パートナーとの間で資金調達の代替案を模索している。同氏の会談内容を知る関係者らが明かした。こうした協議はまだ初期段階にあるという。
アルトマン氏は世界のAI半導体生産能力を加速させるべく、9月下旬以降、台湾や韓国、日本を歴訪している。関係者によると、同氏は台湾積体電路製造(TSMC)や鴻海精密工業(フォックスコン)、韓国のサムスン電子やSKハイニックスなどの企業を訪れ、会談した。こうした企業の多くは米半導体大手エヌビディアに製品を納入しているが、アルトマン氏は生産能力を拡大し、オープンAIの注文を優先するよう働きかけたと、関係者は明かした。
また計画に詳しい関係者によると、アルトマン氏はアラブ首長国連邦(UAE)の複数の投資家を訪ね、オープンAIのインフラ拡大と研究を支援するための資金を調達する意向だという。
チャットGPTの公開以降、計算能力のサプライチェーンは、世界で急増する需要を満たすことを目指すものの、生産上のボトルネックに直面している。半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手のTSMCはエヌビディアの半導体を製造し、フォックスコンはその半導体を用いたサーバーを組み立てている。サムスンとSKハイニックスは、それらのシステムに半導体メモリーを供給している。