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大人の毎日は「選択」の連続です。ピンチをチャンスに変えるには、どうすればいいのか。高い評価や人望や信頼をたくさん得られるのは、どっちの選択肢か。微妙な状況への立ち向かい方を通じて、より大きな幸せをつかめる「トク」な道を探りましょう。(コラムニスト 石原壮一郎)
※「お悩み」は編集部で作成した架空のモデルケースです。
今回の「お悩み」
取引先に向かうためにバスに乗った。次のバス停で降りるので、バスが動き出した直後に降車ボタンを押したら、後ろの席に座っていた3~4歳の男の子が「ボクが押したかったのに~!」と激しく泣き出した。
母親は「しょうがないでしょ。また今度ね」となだめている。
知らん顔をするか、その子に「ごめんね」と謝るか。さて、どうしたものか?
選択のポイント
気が付かなかったとはいえ、とんでもないことをしてしまいました。ただ、どう対処するのがいいかは、極めて難しい選択と言えるでしょう。
後ろの席を振り返って、あるいは立ち上がって、その子と母親に「ボタンを押してしまってごめんなさい」と真摯に頭を下げる道もあるにはあります。ただ、いきなり知らないおじさんに話しかけられたら、その子は怖がってさらに激しく泣くかもしれません。
母親としても、「いえ、その、うちの子がすみません」と謝らざるを得なくなります。
ここで大切なのは、礼儀正しくふるまう自分に酔いしれることではなく、その子と母親の負担を増やさないこと。
謝らなかったからといって、母親は「なんて非常識な人かしら」と思ったりはしません。ここは勇気を振り絞って「知らん顔をする」という道を選びましょう。
気が済まないなら、降り際に母親をチラッと見て、申し訳なさそうな表情で頭をかきつつ会釈しておく手はあります。子どもには影響を与えないまま、大人同士で心が通い合ったようなあたたかさを感じることができるかも。
いや、もしかしたら母親が「ウチの子を泣かせやがって……」と逆恨みしている可能性がないわけでもありませんが……。








