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米国で「悪夢の細菌」による感染症が急増
米国で、抗菌薬の効かない細菌による感染症が驚くべきペースで増加していることが、米疾病対策センター(CDC)の最新データで明らかになった。
CDCによると、最後の砦とされるカルバペネム系薬剤を含むほぼ全ての抗菌薬に耐性を示すことから、「悪夢の細菌」の異名を持つNDM(ニューデリー・メタロβラクタマーゼ)遺伝子を持つNDM産生カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(NDM-CRE)が2019年から2023年の間に劇的に増加したという。CDCの疫学者であるMaroya Walters氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に9月23日掲載された。
NDM-CREを原因とする感染症は、肺炎、血流感染、尿路感染、創傷感染などを引き起こし、治療が困難で、死に至ることもある。治療で医師が利用できるのは、静脈内投与を要する高価な2種類の薬剤だけである。
本研究には関与していない米エモリー大学の感染症研究者であるDavid Weiss氏は、「米国におけるNDM-CREの増加は深刻な危険であり、非常に憂慮すべき事態だ」とAP通信に対して語っている。
CDCの報告書によると、米国でのカルバペネム耐性菌を原因とする感染症の発生率は、2019年の10万人当たり2件弱から2023年には10万人当たり3件以上へと69%増加している。
中でもNDM-CRE関連症例は、2019年の10万人当たり約0.25人から2023年には1.35人へと460%以上の急増を示した。







