仕事に対する意欲や価値観は、社歴ともに変わります。入社当初は前向きに仕事を頑張ろうと考えていたのに、恋愛・結婚をきっかけに「もういいや」という考え方に変わってしまう。そうしたことが入社8年目あたりの女性社員の間では、よく起きているようです。この突然の変化に戸惑うのは、職場の同僚、上司だけではありません。きっとあなた自身も戸惑うはずです。

 今回は、彼女たちのキャリアに対する考え方がどのように変遷していくのか、そして周囲はそれをどう受け止めればよいのか、考えてみましょう。

いち早く抜擢されたのに
あてもなく辞める30歳・女性社員

 大学を卒業して社会人8年目といえば、30代に突入する頃。同じ職場でも処遇・待遇に差が生まれてきます。8年の間に培ってきた仕事の成果や将来に対する期待値が異なってくるからです。

 食品メーカーに勤務しているDさん(30歳)は、同期の2人が主任に抜擢されたことを社内の掲示板で知りました。

「ついに同期で差がついてくる年代に突入したのか…」

 自分が抜擢されなかったことが残念である一方で、抜擢された2人の経歴を考えれば、「納得」でした。自分は同期に1歩先を越されたのですが、心の底から「おめでとう」とつぶやきました。

 ちなみに抜擢されたうちの1人は、大ブレイクした新商品を企画したマーケティング部のGさん。そして、もう1人は女性ながら営業部で大きな商談を決めて注目の存在となっているRさん。どちらもDさんからすれば、活躍を認めていた存在。ですから、

「くやしいけど、納得。自分も追いつけるように頑張らなくては」

 と、今回の2人の抜擢が自分を鼓舞する機会となりました。

 ところが、半年もしないうちに驚くべき話が職場で飛び交いました。

「Rさんが会社を辞めるらしい」

 というのです。そんな馬鹿な。辞めるなんてあり得ない…。噂を聞いたDさんは驚くばかり。

「抜擢されたことがプレッシャーになってしまったのだろうか?」

 そんな想像をしてみましたが、主任になってからも活躍する様が社内でも評判だったRさん。さらに後輩への指導も的確で、管理職になるのも早いのでは、とまで言われていました。そんな順風満帆なRさんが会社を辞めるわけがない。

「周囲がやっかみで流した噂に過ぎないのでは?」

 とも考えました。