天井にバラのレリーフ、
自分の憧れを形に…
開業したエステサロンは、私の理想のサロンを現実の形にしたものです。天井にはバラのレリーフを施し、最新鋭の機器をそろえ、内装の細部にまでこだわり、地方にいながら海外のリゾートホテルのような雰囲気を味わえる空間でした。

「こんなにすてきなサロンはない」と自信満々でオープンしましたが、思ったように会員数は増えません。事業を継続していくだけの売り上げはありましたが、私が期待していたような評価や反響は得られませんでした。
その理由は、今ならよくわかります。「お客様をおもてなしするための最高の空間」と言いながら、結局は自分の好みを追求していたのです。それなのに当時の私は、売り上げが伸びない責任を「田舎だから」「宣伝の担当者が悪い」「スタッフの努力が足りない」「この良さに気づかないお客さんが悪い」と他に転嫁していました。
実は、この物事の本質を見ない自分本位な他責思考こそ、一時的に成功したものの、お金の失敗に見舞われる人たちに共通している原因です。
私は、その後も何度か失敗を重ねながら、少しずつ自分が事業に取り組む理由、生き方の本質と向き合い、自分本位な他責思考から脱していくことができました。ただ、その過程で出会ったお金持ち、一時的な成功を手に入れた起業家の中には、残念ながらお金の失敗とともに表舞台から去っていった人たちもいます。