頭の回転スピードを
維持する方法
いったん頭の回転が遅くなっても、本人が若いつもりになれば、頭の回転の早さも復活するのです。
もうひとつ年をとっても頭の回転を早いままで維持したいのなら、なるべく悲しい気分にならないように心がけることも大切です。
ドイツにあるハイデルベルク大学のアン・ダットは、40歳から80歳の144名に、悲しくなるような文章を読んでもらったり、悲しい気分にさせる音楽を聴いてもらったりしてから、実年齢と主観的年齢を尋ねてみました(※2)。
すると、悲しい気分になると、実年齢よりも自分は老けたと感じやすくなることが明らかにされたのです。
毎日、イキイキと陽気に楽しく過ごすようにすれば、「私は老けた」と感じることもないでしょうし、若々しい気分のままでいられます。そうすれば、頭の回転が鈍ることもありません。認知症の予防にもなりそうですね。
さらに、「私は年齢よりずっと若い」と思っていれば、寿命も延びてしまうというありがたいご利益まで手に入ってしまうことも明らかにされています。思い込みは本当に重要なのです。
フィンランドにあるユヴァスキュラ大学のヴィルピ・ウオティネンは、65歳から84歳までの395年の男性と、770名の女性を13年後まで調査しました(※3)。
なお、参加者には実年齢と主観的年齢を聞き、実年齢よりも若いと感じるグループ、実年齢とほぼ同じグループ、実年齢よりも年上だと感じるグループにわけました。
13年後までの1000人当たりの年間死亡人数を調べた結果、男性では、年上グループが99人、同じグループが65人、若いグループが59名となりました。女性では、年上グループが81人、同じグループが54人、若いグループが36人。男性でも女性でも、「私は若い」と感じている人ほど長生きしていることがわかりました。
頭の回転の早さを知りたいのなら、相手の主観的な年齢を教えてもらえば推定できますが、ついでに主観的年齢を聞けば、「この人は長生きもしそうだな」ということがわかるわけです。主観的年齢を教えてもらえると、けっこういろいろなことを知ることができるというわけですね。
(参考文献)
(※1)Langer, E. J. 2009 Counterclockwise:Mindful health and the power of possibility. New York:Ballantine.
(※2)Dutt, A. J. & Wahl, H.W. 2017 Feeling sad makes us feel older: Effects of a sad-mood induction on subjective age. Psychology and Aging ,32, 412-418.
(※3)Uotinen, V., Rantanen, T., & Suutama, T. 2005 Perceived age as a predictor of old age mortality: A 13-year prospective study. Age and Ageing ,34, 368-372.