
ビジネスメールで「ご確認下さい」と書く人、あなたの周りにもいませんか?実は、この「ください」を漢字にするか、ひらがなにするかで、その人の隠れた性格や欲求が見えてくるかもしれません。メールの些細な表現から相手の”頭の中”を読み解き、仕事上のリスクを見抜くヒントがここにあります。(文/心理学者・立正大学客員教授 内藤 誼人)
メールの文面を見れば
その人の性格がわかる
みなさんは、「クイーンズ・イングリッシュ」という言葉をご存じでしょうか。直訳すれば、「女王さまの英語」。イギリスは、近代国家であるものの、いまだに階級社会であり、階級が異なれば、話す英語も違うのです。
イギリス人と話していると、その言葉を聞くだけで、「おっ、上流階級の人だ」「ふぅん、この人は下流階級の人か」ということがすぐにわかってしまうと言われています。
ポール・ファッセルの『階級:平等社会アメリカのタブー』(光文社文庫、1997)という本によりますと、同じタキシードも、労働者階級の人は「タックス」と呼び、中流階級の人は「タキシード」と呼び、上流階級の人は「ディナー・ジャケット」または「ブラック・タイ」と呼び方を変えるそうです。
他の階級とは違う言葉を使うことで、「私は特権階級の人間だぞ」ということをことさらにアピールしたいという狙いがあるのでしょう。
社会的な階級や地位によって話す言葉が異なることは、「社会的方言」(ソシオレクト)と呼ばれています。その人がどんな言葉で話しているのかを聞けば、その人の地位の高さ、教育水準、職業、年齢などを正確に判断することができるのです。
それでは、話し言葉ではなく、書き言葉ではどうでしょう?
たとえば、その人の書いた報告書なり、メールの文面などを見れば、その人がどんな人なのかを見抜いたりできるのでしょうか。
結論を言えば、答えは「イエス」。メールの文面を見れば、その人の性格や人となりをある程度まで推測することは可能です。
たとえば、ひらがなではなく、漢字を多用する人には、どんな特徴が見られるのでしょうか。
例えば、「〜してください」ではなく、「〜して下さい」とわざわざ漢字を使おうとする人には、どんな心理が隠されているのでしょうか。また、そうした不必要に丁寧なメールを書いてくる人と仕事するうえで気をつけるべきリスクについて解説します。