──オリジナル商品もあるのですね。
原 「OneTwoCut®(ワンツーカット)」は6年ほど前に開発し、即席味噌汁の袋などで採用されています。袋の背貼り部分を簡単に開けられるようにすることで、力が弱い人でも袋を開封でき、開封時に中身が飛び出ることを解消した商品です。
また「フックでどうぞ。」は、袋の2カ所にフック穴を付けた商品で、開封した後でもフックに掛けることができます。
──2025年に3代目社長に就任されました。今後の抱負をお聞かせください。
原 数値目標としては、就任時に「年商100億円を目指す」と宣言しました。現在の2倍です。そのためには大手メーカーさまとの取引を増やしたり、医薬品や化粧品といった食品以外の分野にも進出したりする必要があるでしょう。
そこで生産能力を増強するために、27年に先端機器を導入した工場を新設します。その際にはアルプス中央信用金庫さんに融資などでお世話になる予定です。7月から会長職となった父はアルプス中央信金さんの総代を長年務めさせていただいています。その中で得た地域密着の貴重な人脈は、私にとりましても大きな財産となっています。
既存の工場も、環境負荷低減と高品質印刷を両立させた独自技術「ハイブリッドグラビア」を進化させています。医薬品を扱える清浄度の高い設備を整えた新工場の10年以内の造成も検討中です。
本社(上)の横に、新工場が2027年完成予定。「OneTwoCut®」(下)は誰でも簡単に開封でき、保存もしやすいアイデア商品
優秀な人材が定着する環境づくりも重視しており、近年「健康経営」に力を入れています。月1回トレーナーを招いてストレッチ講座を開き、毎朝日替わりのストレッチをみんなで行っています。病院が運営しているスポーツジムと法人契約もしています。どちらも好評です。ジムは異なる部門の社員のコミュニケーションの場にもなっています。
──着実に前進されていますね。
原 ラミネートなどの加工を素材に施して新たな価値を生み出すことを「コンバーティング技術」というのですが、これは非常に革新的な技術だと私は考えています。今、食品を長期間腐らせずに保存したり、電子レンジや湯煎だけで食べたりすることができるのは、さまざまなフィルムパッケージの開発に成功したからです。私たちもそうした先人に続くような商品を開発していきたい。「革新的なコンバーティング技術で、新たな標準と未来の秩序を創造し、パートナーと共に『包むチカラ』でいつもの毎日を変えていきます」というパーパスを掲げているのは、そんな思いの表れです。
(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2025年11月号掲載、協力/アルプス中央信用金庫)
事業内容:包装用フィルムパッケージの企画・製造・販売
従業員数:170人
売上高:46億6000万円(2025年3月期)
所在地:長野県伊那市西箕輪2415
電話:0265‐72‐1511
URL:sanyo-gravure.jp







