ブランド総合研究所の田中章雄社長は、「函館の街の魅力は、五稜郭や函館山などの景観、寿司やイカなどの食、赤レンガ倉庫などの街並みなど、魅力がコンパクトにまとまっている点。それに加え、アーティストのGLAYが函館をレコーディング等の音楽活動の拠点としていることで、音楽の街のイメージも高まっている」と述べる。
福岡市がトップ10入り
インバウンド需要が支える都市観光
昨年の18位から躍進して9位にランクインした福岡市(41.4点)は、インバウンド需要の力強い回復が際立った。2025年4月には、延べ宿泊者数が過去最高を記録し、前年同月比の17.7%増、外国人宿泊者は25.0%増と大幅に伸びている(FCVB観光データ)。
観光消費のインパクトも拡大。さらに福岡市は、短期滞在型観光に加えて、「デジタルノマド」や長期滞在者向けのプログラムに力を入れており、食や都市機能、滞在型観光を融合した新しい魅力を打ち出している。
「インバウンドはオーバーツーリズムというマイナス面が取り上げられることも少なくないが、『外国人から評価が高まっている』というニュースが注目され、観光地のにぎわいや、地域経済の活性化という恩恵を受けている地域も少なくない。要は、いかにインバウンドの受け入れができるかがポイントだ」と田中社長は見解する。
今回のランキングでは、福岡市のようにインバウンド需要を背景に、安定した人気を保つ大都市がある一方で、飛騨市や由布市のように自然や伝統文化を強みに評価を伸ばす地方都市も目立った。
田中社長が「魅力度は時代の関心に応じて流動する」と語るように、今年の結果は、都市と地方それぞれの個性が共存しながら評価される時代を映し出している。
(フリーライター 西嶋治美)







