知らぬ間に「人を追い詰める方法」とは何か？

知らぬ間に「人を追い詰める方法」とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか？」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち（大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…）は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。（構成／ダイヤモンド社・種岡 健）

Photo: Adobe Stock

人は「選べない」ときに追い込まれる

　人は困難な状況そのものよりも、「自分で選べない状態」に強いストレスを感じます。

　選択肢がないと、自由を奪われた感覚に陥り、心理的に追い込まれてしまうのです。

　本記事では、なぜ「選べないこと」が人を苦しめるのかを整理し、その対処法を考えます。

強制されることの「心理的負担」

「やらされている」と感じると、人は同じ作業でも強い疲労感を覚えます。

　これは仕事だけでなく、学習や生活習慣にも当てはまります。

　主体性がない状態は、自分の存在を否定されたかのように感じさせ、心身に大きなストレスを与えるのです。

選べない状況が生む「無力感」

　選択肢がない状態は、「どうあがいても変えられない」という無力感につながります。

　たとえば、過酷な労働環境や不公平な評価制度では、本人の努力だけでは状況を変えられません。

　こうした環境では、心が摩耗し、やがては燃え尽きや離脱につながります。

「小さな選択肢」を確保する

　すべてを自由に選ぶことはできなくても、小さな選択肢を自分でつくることは可能です。
　仕事の進め方を工夫する、休憩のタイミングを決める、学びの方法を複数持つ。
　わずかな範囲でも「自分で選べている」と感じることで、心理的な余裕が生まれます。

　人を追い込むのは困難そのものではなく、「選べない状態」に置かれることです。
　小さくても選択肢を持つことで、主体性と心の安定を取り戻せます。

　強制ではなく、自分で選んで積み重ねる姿勢。これが「ゆるストイック」の実践です。
　私たちもまた、選択の余地を確保し、ゆるストイックに生きましょう。

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圧倒的な支持で 8.5万部 突破！
佐藤航陽氏 最新刊！

『ゆるストイック』(佐藤航陽・著)

著者からのメッセージ

　正直に言うと、この本に書いた内容は、自分自身で十分に試行錯誤し、すでに消化してしまっているため、あえて文章として残すモチベーションはそこまで高くありませんでした。

　それでも書こうと思った理由は、長年考え続けてきたテーマであるため、「かつての自分のような人」の助けになれば、という気持ちが残っていたからです。
「努力は報われる」「夢は叶う」と教えられてきましたが、「マイナス地点からスタートした人もハンデを覆すことができるのか？」という疑問をずっと抱いていました。

「がんばらなくてもいいんだよ」と寄り添う言葉はとても魅力的です。
　しかし、彼らは甘い言葉の責任は一切取ってくれません。

　逃げ帰る場所がない人もたくさんいます。
　むしろそっちのほうがずっと多いです。
　私もずっとそうでした。
　この本はそんな人のために書きました。

　会社を経営していると、社会からずっと教わってきたことと、実際の世の中の仕組みが違っている場面に何度も遭遇しました。その度に、自分なりに世界の仕組みを自力で理解して攻略する必要がありました。

　そして、その度に誰かが書いた本に助けられてきました。
　今度は私が誰かにそれを返そうと思ってこの本を書いています。

『ゆるストイック』に書いたことは、「もっと早く知っていれば、無駄な遠回りをせずに済んだのに」と思うことばかりです。ここに書いたことはあくまで「手段」にすぎません。
　それを使って何を実現したいのかという「目的」のほうが重要です。

　この本が、自分の人生にまだ納得がいっていない「諦めの悪い人」へのヒントになることを願っています。

CONTENTS

第1章　時代が「ゆるストイック」を求めている
第2章　ゆるストイックの心の準備
第3章　「世の中の仕組み」をゆるく理解する
第4章　ゆるストイックに過ごす方法
第5章　ゆるストイックを持続するコツ
第6章　不確実な未来に備える