肩コリ、冷え、むくみ、不眠……。
検査をしても「異常なし」と言われるのに、体が重く、気分も晴れない。
そんな“なんとなく不調”の背景にあるのが、体内にたまった「老廃物の滞り」です。
その老廃物を流し、体を内側から整えるメソッドをまとめたのが、矢上真理恵さんの新刊『すっきり自力整体』
「自力整体」とは、整体師や鍼灸師の手技を自分自身におこなうメソッド老廃物を流し、痛みやコリ、不定愁訴の改善を目指します。現在、約1万5000人が実践中。
体の流れを整えることで、冷えや疲れ、生理不順や更年期の体調の乱れ、睡眠の質まで変わったという声も多く寄せられています。
矢上さん自身も、自力整体で体調を立て直し、40代目前で自然妊娠・安産を経験したひとりです。
本稿では、新刊『すっきり自力整体』から、老廃物を流す手軽なワークを抜粋してお届けします。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
写真:榊智朗 構成:依田則子

【整体プロが指南】女性の「なんとなく不調」が一瞬で消える、たった1つの習慣とは?

流れが滞ると、痛みや不調が生じる

 東洋医学には「不通即痛(ふつうそくつう)」という言葉があります。
 直訳すると「通らざれば、すなわち痛む」
 つまり、血液や気の流れが滞ると、体は痛みや不調を生じる、という意味です。

 血の流れが悪くなると、筋肉はこわばり、関節は固まり、全身の代謝が落ちます。
 結果、肩コリや冷え、むくみ、不眠といった“現代女性の定番不調”が起こりやすくなります。

女性の不調の根にある「瘀血(おけつ)」とは?

 自力整体では、老廃物を5つに分類しています。
 5つに整理することで、不調の原因がわかりやすくなり、対策の方向性が見えやすくなるからです。

〈5つの老廃物〉
 ① 息(そく):肺に残った古い空気
 ② 血(けつ):滞った血液=瘀血(おけつ)
 ③ 水(すい):余分な水分=水毒(すいどく)
 ④ 便(べん):腸にたまった便
 ⑤ 念(ねん):心に残る感情の老廃物

 なかでも「②血=瘀血」は女性の体にもっとも多い老廃物です。

 原因は、冷え、運動不足、ストレス、ホルモンバランスの変化など。
 血液の流れが滞ることで、全身に酸素や栄養が行き渡らず、代謝が低下していきます。

 その結果、次のような症状が現れやすくなります。

 ・肩コリ、首コリ
 ・頭痛、めまい
 ・冷え、むくみ
 ・不眠
 ・生理不順や更年期の不調

 一見バラバラに見えるこれらの不調も、じつは「血のめぐり」という一本の糸でつながっています。
 つまり、瘀血を流して血流を取り戻せば、複数の不調が同時に軽くなることも珍しくありません。

経絡を整えて、“血のめぐり”を取り戻す

 自力整体では、この滞りを解消するために、体内をめぐる「気血(きけつ)」の通り道=経絡(けいらく)を整えます(図は後半で紹介)。

 経絡を刺激して老廃物を流し、筋肉や関節をゆるめることで、体の循環をスムーズにしていくのです。

 東洋医学では、体内を流れる経絡が、臓器や筋肉を結び、生命活動を支えていると考えます。
 この経絡の流れが滞ると、気や血がスムーズにめぐらず、老廃物がたまりやすくなります。
 鍼灸も、この「経絡を整える」理論をベースにした治療法。

 自力整体はその考え方を応用し、自分の体を自分で整えるメソッドとして体系化されています。
 ツボを押し、筋肉や関節を動かしながら、経絡の滞りを自分の手で解消していくのが特徴です。

足先をほぐして瘀血を流す!

 瘀血を手軽に流すのが「足の経絡ほぐし」のワーク(方法は後半で紹介)。
 足先には多くの経絡が集まっており、刺激することで全身の血流が改善します。

 足首や足裏をほぐす、ふくらはぎを伸ばす――こうした簡単な動きでも、滞りがやわらぎ、体が内側から温まります。

 冷えやむくみを感じる人ほど、足先の経絡の流れは滞りやすいもの。
 やさしく刺激することで、血液がめぐり、全身が軽くなるのを実感できるでしょう。

瘀血をすっきり流す!「足の経絡ほぐし」のワーク

 画像を見ながらおこないましょう(※画像は書籍『すっきり自力整体』より抜粋)。

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 ◎「足の経絡ほぐし」のワーク

【手順1】
 ◆左足の親指と小指をつかんで外向きにくるくる回す

【手順2】
 ◆次に、人差し指と薬指をつかんで外向きにくるくる回す

 最後に中指をくるくる回しながら指先を引っ張る

【手順3】
 ◆右手の指を左足指の間にすべて入れる

【手順4】
 ◆左かかとを左手でぎゅっとつかんだら

【手順5】
 ◆体を左へ傾け足裏を上側にねじり上げ深呼吸

 足裏を温めるように右手のひらで圧をかけながらねじる

【手順6】
 ◆最後に左ひざを立て左手でひざを押しながら左アキレス腱を伸ばす

 おしりや左足のかかとを浮かせてもOK
 足先は外側へ向ける

【手順7】
 ◆反対側も同様におこなう

 ※硬さを感じたところは長めにおこなう

 時間に余裕のある方は、書籍『すっきり自力整体』で紹介している動画でわかる「20分ショートレッスン」も役立ちます。

『すっきり自力整体』では、このほかにも、整体プロの技法を応用したデトックスメソッドを多数掲載。老廃物の排出、コリや痛みの緩和、不定愁訴やゆがみの解消まで、自分でできる整体の実践法を紹介しています(★54分の動画付き)。

矢上 真理恵(やがみ・まりえ)
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。