AIが変える「頭のよさ」の基準

びーやま:とはいえ、受験制度があるかぎり、こういうバイアスを持った人は、これからもずっと生み出されてしまいますよね。

中原:そんなこともないと思います。ペーパーテストやマークシートが使われているのは、年間60万人以上の受験生に、短期間かつ低コストで合否判定を出すためには、現状それしか方法がないからです。

 逆に言えば、テクノロジーのブレイクスルーがあれば、この選抜方式はいくらでも置き換わる可能性があります。現時点でいちばん可能性が高いのは「AIの導入」ですね。AIを使えばもっと別の「頭のよさ」を、もっと低コストで評価できるようになるかもしれません。

びーやま:そうなれば、従来的な「頭がいい=学歴が高い」には意味がなくなるかもしれませんね。そのときには、僕らのような「学歴YouTuber」は廃業を余儀なくされそうですが(笑)。

「一発勝負で決まる学び」が終わる

びーやま:でも実際のところ、企業の人材採用、とくに新卒採用などの領域では、すでにAIを導入する動きが出てきていますよね。

中原:ええ、書類審査から一次・二次面接くらいまでは、AIで代替しているケースを耳にします。大学受験でも同じことができれば、いまのような「一発勝負のテスト」である必要もなくなるはずです。

 課題になるのは、替え玉受験を防ぐための「本人認証」ですね。「その人が本人であること」を証明するためには、それなりにお金がかかります。たとえば、全国にテストセンターをつくって本人認証を行えるようになれば、受験生たちは何度もテストセンターで受験できるようになるでしょう。もちろん、お金はかかりますが、少なくとも「年に一度の一発勝負」はなくなりますよ。

びーやま:たしかに、受験が「一発勝負」である必要もなくなるのか…。何度でも挑戦できるなら、受験のプロセス自体が本人にとっても「学び」の機会になりますね。

中原:そう。受験すること自体が「傷」を追わせる機会から、学びや成長の機会に変わる。そういうシステムのほうが、本来の目的にかなっていると思います。