​「大学受験」は10代における最大のイベントです。残念な側面でもありますが、いい大学に行けば、なりたい職業になれる確率は上がり、将来の選択肢は増えるのが現在の日本です。一方で、「学歴」だけで人生の成功が約束されるものではありません。
本記事では「学歴だけではなく、大人になってからもなぜ学びが必要なのか」をテーマに『学びをやめない生き方入門』(テオリア)の著者であり、立教大学経営学部教授の中原淳氏と『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』の著者である、wakatte.TVのびーやま氏への特別対談をお届けします。(構成:藤田悠[テオリア]/撮影:Akifumi Shintani)

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【お悩み相談】

家に帰るとすぐにスマホを見たり、眠たくなったりします。大人は毎日どれくらい机に向かえば、「学んでいる」と言えますか?(50代・男性)※1

「机に向かわなきゃ学びじゃない」?

中原淳氏(以下、中原):まず気になったのは、この相談者の方は「机に向かわなければ、学びじゃない」と思い込んでしまっていないかということですね。

 学生時代からの「学び=受験勉強」というイメージが、なかなか抜けないんですよね。気持ちはよくわかります。ですが、まずは「学び=座学=机」という囚われから、自分を解放しましょう。

 私たちは生きているだけで、学んでいます。学ぶとは、自分が変わること。できれば、自分の周囲を変えることです。ならば、すべての生けとし生きるものは、学んでいるはずです。

びーやま氏(以下:びーやま):たしかに。学びを堅苦しくとらえてしまっている人は、かなり多いんじゃないかと思いますね。その結果、「自分は全然学べていない…」と自己嫌悪に陥ってしまったり。

中原:私のように四半世紀以上にわたって、ひたすら「人の学び」を研究してきた立場からすると、人間は寝ているとき以外は「つねに学んでいる」ようにしか見えないんですよ。

 ダラダラとスマホを眺めている人を見かけても、「おお、学ばれていますなあ……」と思ってしまうんです(笑)。