中国はレアアース(希土類)生産の支配力を政治的・経済的武器として利用している。そのため米国は、中国に代わるレアアースの供給源を必要とする。ドナルド・トランプ米大統領が今週、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相との間で鉱山開発と生産に関する協力強化の合意を結んだことは、代替供給源の確保に向けた重要なステップとなった。貿易面で同盟・友好関係にある国々の存在がいかに有益か、これでトランプ大統領もよく分かったことだろう。中国政府は、何十年もかけてレアアース生産の支配力を強化してきた。その狙いは、軍事・経済両面で、西側諸国に対する影響力を強めることにあった。中国は、2010年に尖閣諸島の領有権を巡って日本と対立した際に、レアアースの対日輸出を制限した。今月に入って中国の対応はエスカレートした。中国産のレアアースがわずかでも使用されている製品について、それを製造する世界中のメーカーに対して中国の輸出許可を得るよう要求したのだ。こうした製品には、電子機器、コンピューター用半導体、国防装備品、自動車、医療用機器などが含まれる。
【社説】トランプ氏、豪レアアース開発で好ディール
中国の重商主義に対抗、オーストラリアとの協力が示した同盟の価値
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