日本の航空市場にLCC(格安航空会社)が就航してから1年。そのうちの1社、エアアジア・ジャパンで親会社間の不協和音が露呈した。はたしてこれが航空再編の引き金となるのか。
Photo by Toshiaki Usami
半年前の昨年12月。東南アジアで航空市場を席巻するLCC(格安航空会社)、エアアジア(マレーシア)のトニー・フェルナンデスCEOが、日本で資本参加を検討した会社がある。
1990年代後半の航空規制緩和で誕生した新興航空会社のスターフライヤーだ。国内路線の6割が集中し、“ドル箱”とうたわれる羽田空港の発着権益を持つ6社のうちの1社だ。
ところが実際、直後にスターフライヤーの株式約17%を買い増し、筆頭株主として登場したのは全日本空輸(ANA)だった。
まるでフェルナンデスCEOを先回りするかのように、スターフライヤーの大株主だった米国ファンドのDCMから24億円で取得。1株当たりの買い取り価格は、約4900円で、当時の市場価格の2倍を超える高値だった。
「スターフライヤーとは共同運航しており、提携強化は重要な経営戦略。それ以上の意図はない」(ANA)とするが、高額な買い取り価格、駆け込みで実施されたかのようなスピード感に、フェルナンデスCEOがANAに不信感を抱いたとしても不思議ではない。
エアアジアとANAは、日本の航空市場においてパートナー関係にあるからなおさらだ。ANAが51%、エアアジアが49%出資するLCC、エアアジア・ジャパンを事業展開する。「大手航空会社の3分の1」という低価格をウリに、昨年8月、日本で3番目のLCCとして就航したが、搭乗率が50%台で他社と比べても低迷。想定外の苦戦に、このほど両社は合弁解消に向けての話し合いを始めた。
不振の主な原因は、マレーシア流のビジネスモデルが日本市場になじめなかったことだ。手数料がかさむとして旅行代理店を使わず、インターネットでの販売に依存したが、サイトの使い勝手が悪いという声が多い。