これまで低価格を武器に成長してきた新興航空会社のスカイマークだが、国内線にLCC(格安航空会社)が誕生したことで岐路に立たされている。成長を目指して打ち出したのは、世界最大の旅客機エアバス380を使った国際線への進出だ。さらに、国内線でも機材の大型化に踏み切る。巨額の資金を投じる大勝負ははたして吉と出るのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

 急成長を続けてきたスカイマークが曲がり角を迎えている。

 2012年は、3月に関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションが、夏には成田空港にジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパンが就航し、“LCC(格安航空会社)元年”と、もてはやされた年だった。

 そのLCCの影響をまともに受けたのがスカイマーク。LCC誕生前夜まで、スカイマークは、国内航空市場におけるプライスリーダーだった。例えば、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)なら東京~札幌路線で普通運賃3万4000円のところ、スカイマークは1万6000円と約半額で提供してきた。

 ところが、誕生したばかりのLCCは同じ路線に4000円台から就航し、“最も運賃の安い航空会社”というスカイマークのお株を奪ってしまったのだ。

 年間平均で80%超という、高い搭乗率は急落(右グラフ参照)、12年度第1四半期は赤字に転落した。「自社の先行きは大丈夫だろうか?」、昨年夏、スカイマーク社内には、そんな空気が蔓延していたという。

 当時、著しく搭乗率を落とした理由について、スカイマークの有森正和常務は以下のように解説する。「もちろん、LCCとの競合も大きな理由の一つ。だが、それ以上にスカイマーク自身が値上げしたことで、客離れを引き起こしてしまった」。搭乗率の下落に直面したことで、あわてて軌道修正、再び値段を下げており、搭乗率は回復しつつある。

 LCCとの戦いの火蓋が切られ、今、スカイマークは試行錯誤しているのである。