背骨の前側の椎体は海綿骨というスポンジ状をしているのですが、ここが体重に耐えられなくなって徐々に縮んでいき、痛みらしい痛みはないにもかかわらず、骨折しているのです。
大きな衝撃による骨折が地震だとすれば、「いつの間にか骨折」はゆっくり進んでいく地盤沈下のようなもの。それゆえに、なかなかそれに気づくことはできません。
骨粗しょう症は、予防できる時代になっています。そのためにも、50歳を過ぎたら、定期的に骨密度検査をしてください。
適度なエクササイズが
老いた骨を強くする
骨粗しょう症のおもな原因は、加齢です。年齢を重ねると骨をつくる力が弱くなるので、骨密度が低下します。とくに女性の場合は、閉経後に女性ホルモンのエストロゲンが減少するため、骨の代謝が崩れやすくなります。
そのほかにも、骨をつくる栄養素(カルシウム、ビタミンDなど)の不足、運動不足、喫煙や飲酒などの生活習慣も影響します。
そんな困った病気の骨粗しょう症ですが、近年になって新しい薬が開発されて、投薬による予防や治療が進んでいます。
そのきっかけになったのが、1990年代から使用され始めたビスホスホネート薬(薬物名:アレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸、イバンドロン酸など)です。
この薬は、骨を壊す破骨細胞の働きを抑え、骨吸収抑制の効果が実証されています。現在でもよく使用されているメジャーな治療薬です。
2000年代以降に開発された薬に、SERM(薬物名:ラロキシフェン、バゼドキシフェンなど)があります。
これは骨に選択的に働く、エストロゲン様作用によって骨を守る薬です。骨密度の維持、椎体骨折予防に有効な薬として知られています。
同じく2000年代中盤に開発された、骨の形成を促進する薬が副甲状腺ホルモン製剤(薬物名:テリパラチドなど)です。
自分で打つ必要のある注射薬ですが、椎体の骨密度の増加効果が高く、椎体骨折を減らす働きがあります。骨折リスクが高い患者さんにとくに効果的な薬です。







