変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、6月29日発売)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。同書から抜粋している本連載の書下ろし特別編をお届けする。

「何歳になっても老け込まない人」のたった一つの習慣とは?Photo: Adobe Stock

VUCAの時代は、油断するとすぐに老け込んでしまう

 VUCAの時代と呼ばれる現代は、グローバル化とデジタル化によって環境が日々大きく変化しています。業界という垣根はなくなり、GAFAMのような巨大企業は国家さえも脅かしつつあります。

 これまでやってきた業務がソフトウェアに代替されたり、人件費が低い新興国にアウトソースされたりして消失したといった経験が、皆さんにもあるのではないでしょうか。

 このような時代には独自の価値を生み出せるように自身を変化させないと、すぐに時代についていけなくなり、老け込んでしまうことになります

時代を変革するのは、よそ者、若者、馬鹿者

 いつの時代でも、変革を起こすのはよそ者、若者、馬鹿者です。

 明治維新の立役者と言われる坂本龍馬や西郷隆盛は20代、30代の若者のときから影響力を持っていましたし、トヨタ自動車よりも時価総額の高いテスラを率いるイーロン・マスクは決済会社ペイパルの創業者です。自動車業界の人からすればよそ者で、かつ、空気を読まずに非常識なことを繰り返す馬鹿者でしょう。

 東南アジアの渋滞や決済の問題を解決し、今や楽天の2倍近くの時価総額を誇るグラブの創業者であるアンソニー・タンとタン・フイリンの2人は、20代で創業しています。

よそ者、若者、馬鹿者と会話をする

 何歳になっても老け込まないために私がお勧めするのは、意図的によそ者、若者、馬鹿者と接する機会をつくることです。

 よそ者とは異業種の人です。全く異なる業種に就いている人や外国の人と会話すれば、新たな視点が得られます。海外に旅行することや新しい分野の本を読むことでも新たな刺激が得られます。すぐに役立ちそうになくても、将来的に役に立つことがあると思って、好奇心を持つことが重要です。

 また、自分よりも世代の若い人たち(若者)と付き合うことで最新の情報を得ることができます。私も最新のプロモーション手法や流行している技術について知らないことが多いという自覚があるので、あえてZ世代と呼ばれる世代と積極的に交流するようにしています。

 馬鹿者とは、ある領域に関する知識を有していない人のことを指します。そして、彼らは常識を気にしないので空気を読みません。

 私の周りにいる老け込まない人たちは、どんなに成功してもおごることなく、よそ者、若者、馬鹿者と積極的に交流しています

 逆に、少しくらいの成功で満足している人は、若者を見下したり、よそ者である外部パートナーを邪険に扱ったりしています。このような人は、若くして「老害」のように扱われてしまうでしょう。

アジャイル仕事術』では、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。