後から来る人のために、
ドアを押さえているか?
編集部 相手の立場になって考えれば「やったほうがいい」ことって、考えてみればたくさんありますね。でもいざやるとなると、なぜかできなかったり、すっかり忘れていたりします。そこが「レベル10」と「レベル11」の大きな差につながるということでしょうか。
川田 もちろん、営業のノウハウやテクニックも大事だと思いますが、お客さまの気持ちになって行動を変えてみるというのも、僕はすごく大切なことだと考えます。
編集部 ちょっとした行動は、仕事中に限らずでしょうか?
川田 仕事以外でも同じだと思います。例えば、他人のためにドアを押さえるとかね。
そういえば、先日、こんなことがあったんですよね。
ある後輩と待ち合わせをしてたとき、彼がビルから出てくるのを見てたんですよ。ビルの出口は、スイングするような大きくて重い、ガラスのドアでした。
で、後ろからね、小さな子どもを連れた家族が歩いてきたんです。だけどその人は、後ろを見向きもしないで開けて、そのまま出て来たんです。
編集部 なるほど、それで…。
川田 偶然同じようなシーンが、その一週間後ぐらいにあったんです。
その時は僕がドアを開けて、後ろから後輩が来たんです。
僕がサッと重いドアを開けて、こうやって押さえたんです。
そしたら後輩が、「あ、すみません、ありがとうございます」って言ったんです、僕に。
それで、「今、ありがとうございますって、どんな気持ちで言った?」って聞いたんです。
そしたら、「川田さんがドアを押さえてくれて、僕に気遣ってくれたから、ありがたいなと思って、ありがとうございますって言いました」と言ったんです。
「そうだよな。その『ありがとう』の言葉で、僕もちょっと温かい気持ちになったよ」と。