トップ営業マンと普通の営業マン、いったいどこに差があるのだろうか。
「どうも売上が伸びない」「アポをいただいても契約に結びつかない」
「営業の仕事が楽しくなくなってきた」等、うまくいかず悩んでいる人も多い。
そこで、外資系生命保険で約2000名のトップになり、伝説の営業マンといわれる川田修氏に、どうすればお客さまの心をつかむことができるのか教えてもらった。川田氏の著書『かばんはハンカチの上に置きなさい』『僕は明日もお客さまに会いに行く。』は合わせて10万部を突破、営業パーソンのバイブルとして売れ続けている。本の中で語られていることは、誰でも実践できる、小さな「違い」だ。さっそく教えていただこう。(撮影/佐久間ナオヒト、聞き手/ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

知っている=レベル10、やっている=レベル11の営業

編集部 唐突ですが、トップ営業マンというのは、やはり他の営業の人たちとは大きく違うものですか?

川田修(かわだ・おさむ)プルデンシャル生命保険株式会社 エグゼクティブ・ライフプランナー 1966年東京都墨田区生まれ。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒業。1989年株式会社リクルート入社。入社から退職まで96カ月のうち、月間目標を95カ月達成。1997年プルデンシャル生命保険株式会社入社、営業職の最高峰であるエグゼクティブ・ライフプランナーに昇格。その年の年間営業成績(2001年度の社長杯)でトップとなり、全国約2000人中の1位のPT(President’sTrophy)を達成する。現在は、エグゼクティブ・ライフプランナーとして活動するかたわら、主な著書は『かばんはハンカチの上に置きなさい』(ダイヤモンド社)、『知識ゼロからの営業入門』(幻冬舎)、『仕事は99%気配り』(朝日新聞出版)など。

川田修(以下、川田) いいえ、そんなことはないと思います。
例えて言えば、「レベル10」と「レベル11」の違いくらいだと思います。

編集部 つまり「レベル1」の違い、ちょっとした差ということですか?

川田 でも、その「レベル1」の違いが、非常に大きな差でもあると僕は感じています。

編集部 これまでの川田さんの著書の中にも、「ちょっとした違い」について具体的に書かれていますね。例えばお客さまのオフィスを立ち去る際には、コーヒーカップを寄せて帰るとか。

川田 年間40くらい、いろいろな業種の企業で講演をしていますが、そこでも結構受ける話です。
では質問です。帰る時に、僕は必ずカップを寄せて帰りますが、なぜ寄せて帰ると思いますか?

編集部 それは、片づけしやすいようにですか?

川田 そうです。今まで講演で同じように質問をして、答えられなかった人は一人もいませんでした。100%の人が、片づけやすいからって答えるんです。それで、「じゃあ皆さん、実際にやってますか?」って聞くんです。

編集部 …私はやっていません、恥ずかしながら…。

川田 ほとんどの方が、同じように答えます。「なぜそれが良いことか」は100%答えられるけれど、100%の人が寄せて帰ってるかというと、違うんです。不思議ですよね。
カップを寄せるのに、すごく筋力使ってヘトヘトになるというんだったらわかるんですが…。
なんてことないことで「やっぱり片づけやすくなるよね」という気持ちがわかるのであれば、僕は皆さんにやってもらいたいって思っているんです。

編集部 だから講演でいつもお話ししていたのですね。

川田 そうなんです。
「皆さんが、いや、もし日本中の人が全員やるようになったら、日本っていう国自体が、ちょっといい国になる気がするんです。それ自体をやれば、皆さんの中に変化が生まれる。
だから講演をきかっけに、僕からのお願いでもあるんですけど、「皆さんにぜひやってもらいたい」って話をするんです。