中途採用への“積極的転換”は、「どの大学を卒業したか」が重視する日本の大手企業特有の採用方式の根本変化になるのかどうか中途採用への“積極的転換”は、「どの大学を卒業したか」が重視する日本の大手企業特有の採用方式の根本変化になるのかどうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

25年度の中途採用比率が51.1%
人手不足・デジタル化で即戦力に需要

 直近の経済紙の報道(注1)によると、2025年度の中途採用計画は24年度から5.8%増の14.7万人となり過去最高となったが、全体の採用人数に占める比率は51.1%と、初めて半数を超えた24年度(50.8%)からさらに上昇した。

 業種別で見ると、非製造業は前年度から7.8%増で、中でも証券(39.3%増)や情報・ソフト(14.0%増)などが大きく増加した。

 企業が中途採用を増やす第一の理由は、人手不足だ。少子高齢化によって若年層の人口が減少しているため、若年者の採用が難しくなっている。これに対処するため、多くの企業が中途採用を増やしている。

 第二は即戦力への需要だ。企業のニーズに合ったスキルや経験を持つ人材を獲得したいとする企業が増えている。これまでの中途採用は、その都度募集することが多かったが、最近ではあらかじめ計画を立てて採用する動きが広がっている。

 とりわけ重要なのは、デジタル化の進展によって、高度な専門知識やスキルを持つ人材に対する需要が高まっていることだ。

 経済産業省によると、2030年にはIT人材が最大で約79万人不足する。このような大きな変化に対応するために、メガバンクや総合商社も新卒中心の採用から転換し、中途採用を積極的に行うようになっている。

 日本企業の採用では、「どの大学を卒業したか」が重視されるという批判がある。「学歴フィルター」と呼ばれ、公式には存在しないとされているが、大企業における新卒一括採用において根強く存在していることは否定できない。

 中途採用への“積極的転換”は、こうした日本の大手企業特有の採用方式の根本変化になるのかどうかだ。