他部署と連携したり、他社と協力したりと、仕事において「チームで仕事をする」ことは多いもの。一方で、価値観や背景の違う相手とのすれ違いや衝突にモヤモヤすることも……。そんなあなたにおすすめなのが、400以上の組織やチームを見てきた組織開発の専門家が「誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること」をまとめた書籍『チームプレーの天才』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社)です。この記事では同書から内容の一部を抜粋し、これまで言語化されてこなかった「他者と協力して結果を出すコツ」を紹介します。
チームが「不安」に陥る理由
新製品や新サービスの開発、新規事業開発などに共創で取り組む場合において、「そもそもこのメンバーでできるんだっけ?」と疑問が湧き、頭をもたげることがあります。
その背景の一つに、体験不足が挙げられます。
従来の行動の延長線上では、新たな発想も気づきも生まれにくいもの。
いままでにない発想やコンセプトは、頭で考えていてもよくわからない。
だから「ピン」と来ない。「できるだろうか?」と不安になる。
であれば、これまでとは異なる体験をインストールするしかありません。
答えがわからないまま悩むより、体験してしまった方が早いですし、そこから対話や議論が進むケースは多々あります。
良き体験が、良き共感と共創をもたらします。
見えないコンセプトを、見えるコトに変換していく。それを媒介するのが体験なのです。
体験を生み出すために「必要なもの」
そして、何か新しいものごとを体験するには、それが行われる「場」が必要です。
たとえばあなたが、社会人同士が学び合う文化を創造することで地域を活性化したいと考えているとします。
「学び」と「活性」、いずれも抽象的であり目に見えにくい概念です。ビジョンやコンセプトを連呼するだけでは、人々の共感は得られたとしても、実際の行動には移しにくいでしょう。
そこで、あなたは実際にいろいろな取り組みを仕掛けていこうと考えます。
では、それらの取り組みは「どこで」やればいいのでしょう。
ズバリ、「場」がないことには新しいことは始まりにくいですし、続きません。
リーダーは、まず何から始めるべきか
どんなにその地域や組織に強い思いを持った人がいても、なかなかコトにつながらない。そのもどかしい景色をよく見てみると、ほぼ例外なくその地域や企業内に「場」がないことが多いのです。
共感を行動に変換するには、場が不可欠です。
よって、チームを共創へと導きたいリーダーは、まず場創りから進めましょう。
既存の場を活用する、あるいは新たに場を創る。いろいろな方法があります。本書でお伝えしていくので、いずれかの方法で突破しましょう。
(本稿は、書籍『チームプレーの天才』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では、他者とうまく仕事を進めるための具体的な93の技術を紹介しています)
■書籍のご紹介
誰とでもうまく仕事を進められる人は、
何をしているのか?
社内でも、社外とも。
「他者」と協力して結果を出せる本!!
「ひとり」で頑張るのはしんどい。
でも、「他者」と協力するのも億劫……。
本書は、そんな葛藤を抱える人のための本です。
近年、チームで成果を出すよう求められるシーンが増えてきました。変化の激しい時代において、自分たちの専門性や意欲だけでは、ひいては従来の「勝ちパターン」では答えを出すことができない。よって他者と協力して答えや結果を出すやり方にシフトする。その流れは必然とも言えます。
チームの仲間、社外の取引先、そして、これまで関係のなかった未知なる仲間たち。幅広く他者と手を組み、いままでとは異なる答えを出す。それができない組織や人は、イノベーションはおろか現状維持さえも厳しいでしょう。
その時代の流れの中で、脚光を浴び始めたある言葉があります。
「共創」です。
共に創ると書いて、共創。この言葉をビジョンやスローガンに掲げる企業が増えてきました。
一方で、共創は「言うは易く行うは難し」の典型。なかなか思うようには進みません。「共創できるチーム、組織にしていきたい。しかし、うまくいかない……」。企業の経営者や部門長、地方自治体の長などから、このような相談を、本書の著者たちは日々受けています。
そんな人たちに向けて、他者と「共創」関係になり、一緒に結果を出すための方法を伝えるのが本書です。組織開発の専門家である沢渡あまねさんと、デザイン経営の研究者・実務家である下總良則さんが、これまで400以上の組織やチームを見てきたなかで気づいた「他者と協力して結果を出せる人たちがやっていること」を、具体的な93のコツとして紹介します。
リーダーやマネジャーにかぎらず、いちメンバーでも実践できる内容です。ひとつでも実践してもらえれば、仕事仲間とのコミュニケーションが変わり、関係性が変わり、結果も変わってくるでしょう。
他者と協力して仕事の結果を出したい人にとって、具体的な学びの多い一冊です。
本書はこんな人におすすめです
「社内でチームの一員として仕事している」
「部署横断プロジェクトのメンバーに選ばれた」
「取引先や協力会社など社外の人と仕事をしている」
「社外でイベントやコミュニティの運営に関わっている」
「地域や行政などと協力する必要がある」
本書はこんな悩みを解決します
「意見が食い違ってぶつかってしまう……」
「経験や価値観がバラバラでまとまらない……」
「意欲を持って取り組んでもらえない……」
「お金を払っているのに、ちゃんとやってくれない……」
「前進している手応えを感じられない……」
「チームで結果を出す」ための93のコツを紹介!!
「3方向地図」を描いてみる/「未来のプレスリリース」を書いてみる/様々な「関わり方」を許容する/「ゲスト」を呼んで外との交流をつくる/「できないこと」を開示して、わかり合う/ 「3つのストーリー」を大事にする/チームの「コンセプト」をブランディングする/「5つの着眼点」で伝え方を考える/2割の「動かない人たち」に振り回されない/「偶然の出会い」を誘発する/1人よりも「みんな」で体験する/ハンドルを「握る」「手離す」体験を創る/「振り返り方」を設計する /「意外な発見」を言語化する/「成果」をすぐに求めない/余白を通常業務に「ビルトイン」する /「遊んでいる」と思われないようにする/4つの「役割」をチームにアサインする/「優秀な事務方」をアサインする/「中の人」「外の人」「さすらいの旅人」を加える/「公式」と「非公式」な学びを組み合わせる/関わる人たちの「次のステップ」「近未来」を描く/「意外な収穫」に名前を付ける/「収益貢献」への実感をもつようにする/小さく褒め合う……
第1章 「ゴールイメージ」を合わせるーー見ている「景色」がバラバラになっていないか?
第2章 「動機」に寄り添うーー自分たちの都合ややり方を押し付けていないか?
第3章 「ストーリー」を描くーー自分たちだけで盛り上がって「孤立」していないか?
第4章 「体験」を創るーー「本当にできるの?」と不安になっていないか?
第5章 「振り返り」を習慣にするーー「勉強になった」「大変だった」で終わりにしていないか?
第6章 「余白」を大切にするーーいつも「成果」を出すことに追われていないか?
第7章 「能力」を補うーーいまのメンバーのままで走りきれるだろうか?
第8章 「キャリア」のイメージをもつーー自分やメンバーの「その後」を描けているか?
第9章 「変化・成長」を実感するーー目先の評価に惑わされて「成長」を見過ごしていないか?
■著者プロフィール
沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問(組織開発&ワークスタイル変革)。あまねキャリア株式会社CEO/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表。プロティアン・キャリア協会アンバサダー。磐田市"学び×共創”アンバサダー。『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』『読書ワーケーション』主宰。大手自動車会社、NTT データなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。主な著書は『組織の体質を現場から変える100の方法』(ダイヤモンド社)、『新時代を生き抜く越境思考』『EXジャーニー』『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』(いずれも技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。
下總良則(しもうさ・よしのり)
東北工業大学准教授(デザイン経営分野)/usadesign代表/一般社団法人 デザイン経営研究所 代表理事/一般社団法人RAC理事。多摩美術大学を卒業後、商品企画担当者・プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナーを経て、usadesignとして独立。フリーランスデザイナーとして、世界シェア第3位の広告代理店ピュブリシス傘下ビーコンコミュニケーションズや、ネクストユニコーンをはじめとするスタートアップ企業にジョインし、「デザインと経営学」をテーマに活動を広げる。ニューヨークで伝統ある国際グラフィックデザインアワード「Graphis Design Award」にて2023年に金賞を受賞し、ロゴ部門単独では世界第2位、日本からのエントリーの中では第1位を獲得。このほか、日本高等教育開発協会が審査した「コロナ禍でのICTを活用した新しい授業公募」にて、唯一の審査会全会一致事例として最優秀事例に採択され、日本の私立大学の中で第1位を獲得するなど、受賞多数。グロービス経営大学院修了MBA取得。著書に『インサイトブースト 経営戦略の効果を底上げするブランドデザインの基本』(ハガツサ)がある。