1人で食事をする高齢男性老後に孤立する人にはどんな特徴があるのだろうか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

老後に「孤独になる人」と「人間関係に恵まれる人」――。その決定的な違いは、SNSのフォロワー数ではありません。むしろスマホやSNSが「社会的孤立」を深めるという研究結果も。あなたの将来の幸福度が「一発でわかる質問」について、海外の研究成果を紹介しながら解説します。(文/心理学者・立正大学客員教授 内藤誼人)

定年後の人間関係を
定年後に考えても遅い

 ソーシャルネットワークサービス(以下、SNS)が世に出てくる前の時代、人間関係はせいぜい同じ会社の人か、あるいは隣近所の人ぐらいでした。非常に限定的なお付き合いしか物理的に不可能だったのです。

 ところがテクノロジーの進歩により、現代人は物理的な距離がある人とも簡単につながることができるようになりました。本人が望めば、世界中のだれとでもつながることができるような時代になったのです。

 SNSを使っていろいろな人とお付き合いできるようになったのだから、「寂しさ」や「社会的孤立」を感じる人も昔に比べてかなり減ったのではないか、と思われるかもしれませんが、事実は逆。

 SNSをやればやるほど、社会的孤立が和らげられるどころか、むしろ孤立を感じやすくなるという報告があります。

 米ピッツバーグ大学のブライアン・プリマックは、19歳から32歳までを対象にした全米調査を分析し、11のSNS(フェイスブック、インスタグラムなど)を頻繁にやっている人ほど、社会的孤立を「感じやすい」という結果を得ています(※1)。ソーシャルネットワークという社会的なつながりを謳うサービスが、むしろ人の孤独を深めているという点を私たちは最初に理解する必要があります。

 同じような報告は、米テキサス州にあるベイラー大学のメレディス・デビッドも行っています。デビッドが180名にオンライン調査を実施したところ、スマートフォンで人とつながりやすくなったのに、皮肉なことに、スマートフォンをよく使う人ほど、社会的孤立を感じやすかったというのです(※2)。